ダイエット本は、ダイエットに成功した人がスラッとした体型を披露し、読者に「私もこんな体型になれるかも」と希望を抱かせるものが一般的。ところが、桃田ぶーこさんの『45歳、ぐーたら主婦の私が「デブあるある」をやめたら半年で20kgやせました!』(講談社の実用BOOK)は、類書と一線を画している。
「ぶーこ」「ぐーたら主婦」「デブ」......著者名もタイトルもイラストも、自分を美しく見せようという意図が一切感じられない。ここまで吹っ切れていると清々しく、桃田さんへの興味と親近感が湧いてくる。
桃田ぶーこさんは、1972年生まれ。東京で生まれ育ち、田舎に暮らす農家の嫁。家族に「関取」と呼ばれるほど太っていたが、ゆるめの糖質制限(食習慣の改善)だけで半年で85kgから20kg減量。2年半で最終目標の58kgまでの減量に成功した。ゆるい漫画とともにダイエットの日々を綴るブログ、桃田ぶーこの「ゆる糖質制限」ダイエットが人気。
本書に関心を持った人は、多少なりとも現在の体型に不満なり危機感を抱いているのだろう。評者を含め、そうした人が一番知りたいと思われる「デブあるある」と「ゆる糖質制限ダイエットの方法」をいくつか紹介したい。
本書は「第1章 161cm85kgデブだった私の生活」「第2章 こんな私でもこうしたらやせられた!」「第3章 体重を落とすより大変だったデブ脳との戦い」「第4章 卒デブしたら、こんなことがあった!」で構成されている。
まず、第1章の「デブだったときの、ある一日の食事内容」から。食事と間食の合計は、なんと一日8回ほど。さらに、メニューが驚愕の内容だ。例えば23時頃の「夜食」は、メロンパン5個、冷凍ちゃんぽん+冷やご飯投入、ポテトチップス練乳がけ、ざらめせんべい、季節限定のお菓子、ホイップクリーム直飲み、アイス1箱。ここまで来ると、85kgで収まっていたのが不思議に思えてくる。
続いて「デブあるある」。「デブを見ると安心する」「服装はだいたいチュニック×スパッツ」「自分の写真を撮らない&撮らせない」「菓子パンがとにかく大大大好き!!」などなど、いくつも共感できてしまい反省した。ここまで書くのはさすがに恥ずかしいのでは......と思うことまで、赤裸々に綴っている。
2016年秋、ついに体からSOS信号が発せられ、桃田さんはダイエットを決意する。第2章は、友人のすすめで始めた「ゆる糖質制限ダイエット」について。これは、桃田さんが設定した条件「運動大嫌い」「食べること大好き」「できることなら動きたくない」「楽してやせたい」をクリアしたダイエット法だ。基本のやることは5つ。
1 糖質の少ない食材を選ぶ
・食品の三大栄養素のうち、食後に血糖値を上げるのは糖質だけ。
・一日の糖質量を70〜100gにする。
・食品の成分表示(「糖質」または「炭水化物」)を見てから買う。
2 カロリーは気にせずしっかり食べる
・カロリーが高い脂質やたんぱく質は血糖値を上げないので、とっても太らない。
3 食べる順番を守る
・食物繊維の多いもの→肉や魚のおかず→ご飯などの主食
4 調味料と油をかえる
・ケチャップやソース、みりん、たれなどの調味料には、意外なほどの「隠れ糖質」が含まれている。
5 甘い間食を少しずつ減らしていく
・太っている人は三度の食事以外の間食でとっている糖質量がものすごく多い。
食事、運動、器具、サプリなど、ダイエット法は数多あるが、正直、どれもなかなかやる気が出ない。そこで、桃田さんの「ぐーたら」という言葉が、ダイエットの敷居を一気に低くしてくれる。評者はひとまず、成分表示を見てから食品を選ぼうと思う。
本書は、やせた自分を見せ、成功談を綴り、キレイにまとめ上げた一冊ではない。太っていた頃のリアルな生活を存分に綴っている。やせたいと願っている人が強く共感でき、希望で終わらせず、ダイエットを始めたくなる一冊だ。
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