先週『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎)を取り上げるにあたり、本欄で「ゴルフの本の書評を読む人はいるだろうか?」と心配したが、杞憂だった。それなりに読まれたようで、なんとか週間ランキングでも上位に残っている。
世間的には、本書『世界標準のスイングが身につく科学的ゴルフ上達法』(講談社ブルーバックス)が、アマゾンの新書ランキングでも40位台で健闘している。科学書を多く出している「講談社ブルーバックス」のブランドもあるのだろうが、「科学的ゴルフ上達法」というネーミングの力も大きいようだ。
「99%の日本人ゴルファーが間違ったスイングをしている!」と帯にあるから、おだやかではない。著者の板橋繁さんは、日本体育大学ゴルフ部時代は伊澤利光プロとともに活躍、卒業後は日体大ゴルフ部コーチ兼スポーツトレーニングセンターに勤務。その後、オーストラリアに渡り、現地のトッププロ養成学校で運動力学を中心にコーチング理論を磨いた人だ。
最初に次のチェックリストが出てくる(抜粋)。
□リストターンをうまく使うことを意識している □インパクト直前に身体を止めて、ヘッドを走らせようとする □スイングの支点はグリップだ □インパクトでは「アドレスの形」を再現したい □クラブは体の正面にある意識で振る
どれも当たり前のことだから、チェックを入れると、どれも日本だけで通用している「間違ったスイング」だというからショックを受ける。
これに対して、世界標準のスイングは以下のようだという(抜粋)。
○スイング中に手首を決して返さない「ノーリストターン」スイング ○身体の回転でヘッドスピードを上げる「軸回転」スイング ○グリップがつねにヘッドに先行する「ハンドファースト」スイング
板橋さんは、「日本だけがその世界標準のスイング理論から取り残され、"ガラパゴス化"しています」と指摘する。
日本では胸を正面に向けたまま腕を返してヘッドを走らせるスイングが中級者から上級者のゴルファーによく見られる。意識的に手を返すスイングだ。それに対し、欧米の主流は「手を返さないスイング」が主流だそうだ。すなわち「ノーリストターン」スイングだ。
板橋さんは、「身体をねじる習慣のない農耕民族」と「身体をねじる習慣のある狩猟民族」の違いまでさかのぼり、考察する。
先週行われた全米女子プロでも日本選手は一時、首位に立ったが、脱落した。松山英樹プロも最近は、あまり優勝できない。長年、男女とも多くのプロがアメリカに渡りチャレンジしてきたが、韓国選手の後塵を拝している。その原因が、日本独自の間違ったスイングにあるとしたら......。
多くのゴルフの理論書を読んできたが、板橋さんの指摘は目からウロコものだ。すぐには世界標準のスイングを身につけることは出来ないだろうが、とりあえず、目を通しておかないと。そんな危機感を持ったゴルファーが本書を買っているのだろう。
「名言」を読んで満足する前に、まずやることがあった。そんな真摯な思いだ。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?