読むべき本、見逃していない?

「高尾山」が見当たらないのはなぜ?

  • 書名 日本百低山
  • 監修・編集・著者名日本山岳ガイド協会 編
  • 出版社名幻冬舎
  • 出版年月日2017年8月 3日
  • 定価本体1300円+税
  • 判型・ページ数B6変・311ページ
  • ISBN9784344031562

 本書『日本百低山』(幻冬舎)はおおむね1000メートル前後の「低山」のガイド本だ。若いころに登山歴があるような人には物足りないかもしれないが、どうしても山歩きをしたいシニア層には格好の案内本といえるだろう。

知らない名前の山ばかり

 首都圏でどんな山が紹介されているかというと、埼玉では四阿屋山、伊豆ケ岳、千葉では大福山、富山、東京では日の出山、天上山、御前山、神奈川では大山、明神ケ岳。この中で聞いたことがあるのは大山ぐらい。確かにマイナーな山が多いようだ。高尾山がないのは、さすがに登山とは言えないからか。かつて住んだことがある地方に目を凝らしてみたが、聞いたことがない山の名前が並んでいる。

 編著者は日本山岳ガイド協会。それぞれの山に詳しい山岳ガイドが書いている。共同通信が執筆を依頼し、全国の加盟社向けに配信した記事がもとになっている。2016年に「山の日」が制定され、山が身近になったことがきっかけのようだ。登場する山の選択基準は県庁所在地からの日帰り圏。健脚向きの山もあるが、岩場などの危険は少ない山だという。

 掲載されている百山のうち、評者が近くまで行ったことがあるのは、東京の日の出山ぐらい。「奥多摩入門の山」という見出しが付いている。

 どう書かれているか見てみたら、いきなり「ケーブルカーを使ってJRの駅から標高差600メートルをカバー」とある。歩きはじめるのはケーブルの終点、御岳山駅についてからだ。

 道標に沿って起伏のある集落の中を抜けて静かな早道に入り、そのうち山頂に到着する。そこは、まるで小さな公園のように気持ちよく開けている。東に関東平野、西には奥多摩の山々、秋から冬の遠望がきく日には筑波や日光の山々を眺めることができる――というわけで、都会生活からリフレッシュするにはぴったりだ。下山路には「つるつる温泉」もある。山ガールは先刻ご承知のコースだ。少なくとも高尾山よりは自然を身近に感じられる。「親子連れや体力に自信のない方、奥多摩を初めて訪れる人におすすめ」というのはその通りだと思った。

 どの山の説明にも、簡単な地図やコースの旅程もメモで掲載されている。「百低山」は故郷の親しい山だという。思い立ったらすぐ行ける。とはいえ高尾さんほどイージーではない。冬の間に本書などをながめて目星をつけ、春以降に備えてみてはいかがだろうか。類書に『低山トラベル とっておき低山30座の山旅ガイド』(二見書房)などもある。

 ちなみに警察庁のまとめによると、2017年の登山の死者・行方不明者は345人。統計を取り始めた61年以降最多で9割が中高年だという。春になって出かける時も、用心したいものだ。関連で当欄では『登山者のための法律入門』も紹介済みだ。

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