読むべき本、見逃していない?

勝てば復活、負ければ地獄の「推理ゲーム」に死者が挑む!

閻魔堂沙羅の推理奇譚

 木元哉多さんによる「閻魔堂沙羅の推理奇譚」シリーズ(講談社)は、本書『閻魔堂沙羅の推理奇譚』(2018年3月)に始まり、第2弾『負け犬たちの密室』(5月)、第3弾『業火のワイダニット』(8月)、第4弾『点と線の推理ゲーム』(12月)が、シリーズ開始からわずか1年以内に出版された。

 木元さんは埼玉県出身。「閻魔堂沙羅の推理奇譚」で第55回メフィスト賞を受賞し、デビューした。著者紹介にある「新人離れした筆運びと巧みなストーリーテリングが武器」の文言に期待して読み始めたが、本書はその期待に応えてくれるものだと序盤に感じた。

 「第1話 緒方智子 17歳 女子高生 死因・絞殺」「第2話 浜本尚太 27歳 会社員 死因・凍死」「第3話 門井聡子 82歳 無職 死因・老衰」「第4話 君島世志輝 20歳 フリーター 死因・撲殺」の4話構成。現世に未練を残して死んだ4人は、目を開けると、硬い椅子に座らされ、首から上しか動かない。シミ1つない乳白色の広い部屋には、ドアも窓もない。そこにいたのは、閻魔大王の娘・沙羅。真っ赤なマントをまとう、10代後半ほどの美少女だ。

「閻魔堂へようこそ。...ここ閻魔堂は、現世と霊界とをつなぐ関所のような場所です。ここで生前の行いを審査して、おこなった善行と悪行をポイント化して集計し、天国行きか地獄行きかを決めます」
 沙羅が操作するタブレットは電子版の閻魔帳で、やってきた人間のプロフィールや生前の行いが克明に記録されている。死んだことを教えられた彼らは、自分はなぜ死んだのか? 誰に殺されたのか? と沙羅に問いただし、生き返らせてほしいと訴える。
「犯人をみごとに言い当てることができたら、特別に生き返らせてあげましょう。...今あなたの頭の中にある情報だけで、それを正しく組み合わせれば、犯人を言い当てることができます。...もし不正解なら、あなたには地獄に落ちてもらいます」
 沙羅が持ちかけたのは「死者復活・謎解き推理ゲーム」。謎解きに成功すれば復活し、失敗すれば地獄行き。制限時間は十分。生死を賭けた推理ゲームに4人は参戦する。生前に善行を積んだ聡子(第3話)を除く3人は、なんとなく生きているだけの女子高生、ミスばかりやらかす会社員、元不良のフリーター。もし彼らがゲームに勝って生き返ったら、死ぬ前と同じ生き方はもうしない? はたまた、負けて地獄行きか?

 「講談社BOOK倶楽部」は「人気ミステリシリーズ『閻魔堂沙羅の推理奇譚』からあなたへの挑戦状!」として、ネットに問題編を公開し、犯人を推理して誰でも応募できるゲームを企画した(2018年10月末で終了)。犯人を当てたら現金が当たるという前代未聞の企画だが、本シリーズに対する出版社と読者双方の注目度の高さが伝わってくる。テンポ感の良さ、登場人物の個性・設定の描き分けが見事で、まさに新人離れしている。

BOOKウォッチ編集部 Yukako)
  • 書名 閻魔堂沙羅の推理奇譚
  • 監修・編集・著者名木元 哉多 著
  • 出版社名株式会社講談社
  • 出版年月日2018年3月20日
  • 定価本体780円+税
  • 判型・ページ数文庫判・352ページ
  • ISBN9784062941075

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