瀧羽麻子の著書『ふたり姉妹』は、容姿、性格、ものの考え方、好み、何もかも正反対の姉妹が生活を交換し、田舎と都会それぞれで自分を見つめ直し、進む道を見い出す物語。祥伝社より2015年に単行本として刊行され、今年文庫化された。
姉・聡美は、東京の大手製菓メーカーの商品企画部に勤務している。妹・愛美は、地元のデパートのファッションフロアで販売員をしていたが、幼馴染みとの結婚を控えて退職したばかり。聡美は、上昇志向で負けず嫌い。愛美は、愛嬌がありマイペース。
物語は、聡美が前触れもなく実家に帰ってきた場面から始まる。聡美の口から、帰省の理由が明かされることはない。愛美は聡美が実家にいる間、憧れの都会暮らしをしたくなり、「とりかえっこしない?」と提案。愛美は、反対する姉と困惑する婚約者を説き伏せ、いよいよ姉妹は生活を交換することになる。
愛美は、東京のマンションで遭遇した聡美の恋人と、徐々に距離を縮めていく。一方の聡美は、愛美が自分の恋人と親しくなったと知って動揺し、自分も愛美の婚約者と出かけることにする。聡美が実家に帰ってきた理由は?恋人と婚約者を巡り、姉妹関係は悪化する?違う場所に身を置くことで、ふたりは何を感じる?
本書は、姉妹それぞれの視点から交互に描かれていて、正反対の立場の考え方や感情が読みとれる。自分は完全にどちらのタイプということもなく、姉妹それぞれに共感できる部分がある。姉妹のリアルな内面描写に感情移入でき、情景が映像のように浮かび上がり、作品の世界にどんどん引き込まれていった。瀧羽麻子の他の著書も読んでみたい。
著者は、1981年兵庫県生まれ。京都大学卒業。会社勤めの傍ら執筆活動をしている。2007年「うさぎパン」でダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。恋愛や仕事に悩む若者の姿を描き、読者の支持を得ている。他の著書に『ぱりぱり』(実業之日本社)、『サンティアゴの東 渋谷の西』(講談社)、『左京区桃栗坂上ル』(小学館)、『松ノ内家の居候』(中央公論新社)、『乗りかかった船』(光文社)など多数。
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