『娼年』では、人生にも恋愛にも退屈していた二十歳のリョウが、娼夫の道に足を踏み入れ、別人のように娼夫の仕事にのめりこんでいく。ところが、所属するボーイズクラブのオーナー・御堂静香が摘発され、クラブは解散に追い込まれる。
『逝年』は、その1年後、リョウが仲間と共にクラブを再出発させるところから始まる。しばらくして静香は出所するが、彼女はエイズを発症していた。11歳で母を亡くしたリョウにとって、2番目の母だった静香。リョウは、静香の死が刻々と迫る中、自分にできることを力の限りやってみようと思い立つ。リョウの決心で、最愛の女性の命が、最期の輝きを見せることになる。
本書『爽年』は、7年間を超える娼夫生活が、リョウをどんなふうに変え、どんなふうに変えなかったのか。一生の仕事だと考えていた娼夫の仕事にどう決着をつけるのか。リョウの心の動きを追い、最後の決断を見届けることになる。
「生涯一娼夫。ぼくはどんな老人になるのだろう」「なにか大切なものを失っているのではないか」と、30歳を控えたリョウは考え始める。娼夫の仕事に抱く誇りと信念は、揺るがないかと思われた。ただ、ここへ来てリョウが感じるあせりや違和感も、自然な感情だろう。自分自身の幸せと天職と呼べる仕事、その折り合いをどうつけるのか。リョウの決断は最後まで予想できない。
リョウの客は、誰もが人に言えない悩みを抱えていたり、特殊な性癖を持っていたりする。彼女たちはリョウとの触れ合いを通して、自己を肯定できるようになる。本書は性的描写のインパクトが大きいが、同時に、性に対する固定観念が払拭される。リョウの仕事はつまり、人間本来の幸せを追求することなのだろう。
『娼年』シリーズは、累計100万部を突破したそうだ。
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