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「直観」と「直感」はどう違うか

未来を拓く直観力

 人生やビジネスで成功するにはどうすればいいか。様々な指南書があふれている。本書『未来を拓く直観力』(クロスメディア・パブリッシング)は「直観」をキーワードにノウハウを伝授したものだ。著者が若いので、同世代以下には親近感がありそうだ。

「フジサンケイビジネスアイ」1位

 著者の永倉尚樹さんは大阪生まれ。本書の執筆時点で35歳だという。現在、不動産コンサルティング、古民家再生、出版、クラウドファンディングなど幅広く事業を展開、「フジサンケイビジネスアイ」注目企業で何度も1位を獲得しているそうだ。本書はそうした成功体験にもとづき、さらに若い世代に向けて「直観」の大切さを語る。

 まず著者は「直観」と「直感」は異なることを強調する。勘やあてずっぽう、なんとなく肌で感じ取る感覚が「直感」。これに対し「直観」はさらに深く物事の本質に迫って観ていくもの。したがって、「直観」で判断したことは、すべて合理的に説明できるとする。

 著者には一つの物事を限界まで調べ尽くし、目に見えない本質まで把握しようとするクセがあるという。そのうえで物事の本質と自分の「本能」を照らし合わせながら判断を下す。そのプロセスにおいては「ひらめき」があり、判断する際には様々な「視点」を用いる。それらを総じて直観での判断と定義づけている。

「観自在」と似ている

 ここまで読むと、著者が習い性としている「直観」は、実はきわめて正統的で、奇をてらったものではないことに気づく。仏教に「観自在」という言葉があるが、熟慮を軸にして考察する、そして本質をつかむという意味では似ている。

 著者の両親は高偏差値の大学の出身だという。しっかり物事を考えるという遺伝子が著者にも備わっているに違いない。

 学生時代に起業して青年実業家として活躍・・・と聞くと、順風満帆な人生を思い浮かべるが、2009年にはギラン・バレー症候群という難病にもなり、一時は生死の境をさまよった。そうしたどん底からの生還体験が著者の強みにもなっている。一時は死を覚悟したおかげで、人生のスイッチをリセットして、以前よりも直観力が増し、決断力が強まったという。「本書が皆様のより良き人生の一助となれば、これ以上の幸福はありません」という締めの言葉は、どん底を経験した著者の正直な思いに違いない。

  • 書名 未来を拓く直観力
  • 監修・編集・著者名永倉尚樹 (著)
  • 出版社名クロスメディア・パブリッシング
  • 出版年月日2018年5月 9日
  • 定価本体1380円+税
  • 判型・ページ数B6判・208ページ
  • ISBN9784295401797
 

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