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犬は1日に10回も眠る...ホント?

動物はいつから眠るようになったのか?

 睡眠への関心が高まっている。BOOKウォッチでも『睡眠負債』(朝日新聞出版)や 『人生が劇的に変わる睡眠法』(プレジデント社)を紹介したばかりだ。

 本書『動物はいつから眠るようになったのか?』(技術評論社)も広義の睡眠本。ただし、扱っている範囲が広い。「線虫、ハエからヒトに至る睡眠の進化」という副題にもあるように、地球上の生命体がどんな眠り方をしているのか、解説したものだ。先行研究を踏まえた入門書としてわかりやすい。

イルカは「半球睡眠」

 ヒトの睡眠については、テレビなどでもしばしば特集されている。「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があって、1.5時間ぐらいの周期で、浅い眠りと深い眠りを繰り返しているということは、よく知られている。「レム」とは「rapid eye movement」の頭文字から名づけられたもので、眠っているにもかかわらず、素早く目玉が動いている状態を指す。「ノンレム」にも4段階あるそうだ。眠りをコントロールしている脳の働きも解明されつつある。不眠の治療なども、そうした脳の働きに対応して進められている。

 では、ヒト以外の動物たちはどんな眠り方をしているのか。それを探ったのが本書だ。なんとなくヒトと同じような眠り方をしているのではないかと思っている人が多いかもしれないが、千差万別だ。

 本書はまず哺乳類から解き明かす。イルカは「半球睡眠」。泳いでいるときに左右の脳波を計測すると、片方が活動しているが、他方は休んでいるときがある。そのとき眠っている脳の反対側の目のまぶたは閉じているそうだ。クジラも同じで水棲哺乳類に特徴的な睡眠パターンだという。

 ではオットセイやアザラシなどの海獣類はどうか。水中では「半球睡眠」だが、陸にいるときはレム、ノンレムの睡眠になるという。

線虫も眠っている

 犬や猫はどうだろう。ポインターについての調査によると、一日に13時間余り眠っているが、約10回に分けて、一日の中で睡眠と覚醒を細かく繰り返している。猫も同じパターンだ。ラットなどは50~60回に分けて眠っている。一日に複数回の睡眠をとることを「多相睡眠」というそうだ。ウシ、ウマ、サル、チンパンジー、ゾウなどは一回だけの「単相睡眠」。後者のほうが上等な哺乳類のようだ。

 このあたりまでは知っている人もいるかと思うが、本書ではさらに、鳥類、爬虫類・両生類、魚類、軟体動物、昆虫など節足動物と進み、最終章では線虫の眠りにまでたどりつく。体長1ミリ程度の線虫の眠りなど、いったいどうやって調べるのかと思うが、体の動きが停止するときがあり、それが睡眠状態の特徴をいくつかを示すので、眠っているとみなすようだ。ご苦労さんとしか言いようがない。とにかく進化によって、睡眠のパターンが変化していく。

 ことが門外漢にもなんとなく分かった。テレビの特番やクイズ番組などの担当者は、本書をめくると、いくつかヒントを得ることだろう。

 著者の大島靖美さんは1940年生まれ。理学博士。専門は分子生物学、分子遺伝学。九州大学名誉教授。

  • 書名 動物はいつから眠るようになったのか?
  • サブタイトル線虫、ハエからヒトに至る睡眠の進化
  • 監修・編集・著者名大島靖美
  • 出版社名技術評論社
  • 出版年月日2018年2月17日
  • 定価本体1680円+税
  • 判型・ページ数B6判・168ページ
  • ISBN9784774195568
 

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