「睡眠負債」とは睡眠不足が蓄積すること。毎日のちょっとした「寝不足」が「負債」として蓄積し、心身に好ましくない影響を与えていく。2017年の新語・流行語大賞のトップ10にも入り、世間に認知された。
火付け役になったのは同年6月、NHKスペシャルで放送された「睡眠負債が危ない "ちょっと寝不足"が命を縮める」。同タイトルの本書『睡眠負債』(朝日新聞出版)は、取材班が改めて新書として書き下ろしたものだ。
この章立てを見ただけで内容はおおよそ見当が付くだろう。たとえば2章では、2007年に睡眠時間が6時間未満だった日本人は28.4%だったが、14年には36.6%、15年には39.5%とじわじわと増えていることが分かる。かつてはテレビが寝不足の原因と言われたが、近年はスマホなどの情報機器の影響が少なくないに違いない。高校生の睡眠時間も6時間台になっている。
米国では1975年に早くも睡眠学会が立ち上げられている。睡眠負債は英語の「sleep debt」の直訳だ。スタンフォード大学睡眠医学研究所のウィリアム・C・デメント初代所長は、「最初に懸念されるのは居眠り運転。さらに知的機能、身体機能が全体的に落ちる」と、「負債」に警鐘を鳴らす。
このほか、睡眠負債によって、認知症になりやすい、乳がんリスクが高まる、腫瘍の成長が早くなるなどの報告が続く。
Nスペの「○○が危ない」シリーズは16年10月放送の「"血糖値スパイク"が危ない」が最初だった。気づかないうちに私たちの体に忍び寄る健康の危機に警鐘を鳴らす番組だ。NHKの医学・健康番組としては珍しく生放送。特設ホームページやツイッターと連動しながら視聴者の反応も集めている。Nスペは番組作りで膨大な事前準備や資料収集を集める。番組内だけでは紹介しきれないので、本書のように書籍化されることが少なくない。
第7章では、"眠りの専門家"白川修一郎・医学博士が、番組に寄せられた約1万通の質問を元に、「快眠の極意」を伝授するオリジナル企画も掲載している。「寝溜めや昼寝は効果があるの?」「コーヒーやお酒は、就床何時間前までOK?」「どうすれば布団に入ってすぐ眠れるようになる?」「眠れなくても、横になって目をつぶっていれば休息になる?」など76問が並んでいる。自分の睡眠状況が気になる人には参考になりそうだ。
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