「クラゲの骨」は存在しない。清少納言は「枕草子」の中で、ありえないことという意味で「クラゲの骨」の言葉を使っている。
本州最北端の田舎町で、無気力に生きていた金髪の高校生・蒼は17歳の春、気まぐれに立ち寄った心霊スポットの廃病院で、凜という地縛霊の少女と出会う。凜は、30年前に病死した永遠の16歳。儚げな容姿と芯の強さを併せ持つ。
将来の夢もなく、生きることが面倒だと言う蒼に、「バカッ!!」と本気で怒る凜。その瞬間、蒼の中で何かがスパークし、あっという間に心を奪われ、凜に告白する。蒼は凜の中に、本気になれる何かを見つけようとする。一方の凜は、生きることに投げやりな蒼の態度に不快感を抱く。しかし、ストレートに「好き」をぶつけてくる蒼に対して、凜の心はしだいに惹かれていく。
凜が住む廃病院には、水死したフランス人のボビー、自殺した元女優の明日香、スーツ姿で元高校教師の高田さん、事故死した元大学生の吉澤君という、個性的な幽霊仲間がいる。彼らの間では、生きている人間さながらのやりとりが繰り広げられる。
蒼の右手首には、蒼が霊感体質になる原因となった、祖母の形見の黒数珠がはめられている。何度外そうとしても、外せない。蒼と凜をめぐり会わせたその数珠には、2人の絆に関わる秘密があった――。
無気力に生きる少年と、真面目に、でも死んでいる幽霊少女が、互いに心を揺さぶられ、鼓動を感じ合う恋をする。大切な人とともに生きていること、触れられることは、生きていると、つい当たり前に思ってしまう。その前提がない2人の恋を、応援したくなる。
本書『あの日から君と、クラゲの骨を探している。』(宝島社、2018年)の著者である古矢永塔子は、青森県出身、高知県在住。小説投稿サイト「エブリスタ」にて執筆活動を行い、『恋に生死は問いません。』を改稿・改題した本作でデビューした。
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