高校生の市塚美鈴は、物事を偏屈に見る癖があり、口を開けば文句と不満ばかり。その気になれば何にでもなれるという自負はあるが、その気になる未来が見当たらない。「人生って、つまんない」と、行き場のないわだかまりを抱えている。
ある夏の日、雑木林へと駆け込む小柄な男子生徒を目撃した美鈴は、悪戯心で彼の後をつけていく。そこには、見るも無残なガラクタの山がそびえ立っていた。少年は、美鈴のクラスメイトの東屋智弘。東屋は、一心不乱にガラクタでロケットを作り、「宇宙まで飛んでいきたいんだ」と夢を語る。
美鈴は、現実を見ない「大バカ野郎」と東屋を罵り、皮肉る。一見すると、美鈴が東屋をリードする関係のようだが、美鈴の中で、東屋の存在は唯一無二のものになっていく。無邪気に、ひたむきに夢を追う東屋との出会いを機に、人生を面白くできるかどうかは自分次第だと、美鈴は気づき始める。
「死んででも見たい何かってあるんじゃないかと思うんだ」。東屋の生き急ぐような懸命さの裏には、ある理由があった。東屋が本気になる理由を知った美鈴は、今こそ自分が変わる時だと決心し、彼のために動きだす。
生き方も性格も正反対の美鈴と東屋は、それゆえ互いに惹かれていく。最後に待つ展開は、大いに意外性がある。帯のコピー「一読目は切ない涙、二読目は温かい涙があふれだす」、タイトル『この空の上で、いつまでも君を待っている』に込められた真の意味は、最後に明かされることになる。
著者のこがらし輪音は、第24回電撃小説大賞で大賞を受賞し、デビュー。本書『この空の上で、いつまでも君を待っている』(2018年、株式会社KADOKAWA)は、大賞を受賞した『ガラクタの王』に、加筆・修正したもの。作家の三秋縋(『三日間の幸福』『恋する寄生虫』他)は、「誰だって最初は、こんな幸せな物語を求めていたんじゃないか」と本書の帯に推薦文を寄せている。
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