本書『僕はもう憑かれたよ』(宝島社)は、累計48万部を突破した『死亡フラグ』シリーズの著者である七尾与史が初めて挑む、ミステリー×サスペンス×ラブ×ファンタジー小説。
ある夜、八木沼真知の部屋に、「美門玲二」と名乗る見知らぬ男が訪ねてきた。初対面にもかかわらず、彼は真知の昔からのあだ名や好物を知っていた。彼が真知の様子を見にきたのは、知人に頼まれたからだという。真知の頭に「ある人物」がよぎるが、その知人と「ある人物」が同一人物でないことは明らかだと思い直す。
一方の美門玲二は、自分の周囲で不可解な出来事が起きていることに気づく。最近どれだけ休んでも疲れが抜けず、就寝時の動画を撮影してみることにした。すると、そこに映っていたのは、数時間後に起き上がり行動する別人格の「美門玲二」だった。
本来交わるはずのない真知と美門を結び付けるのは、半年前のとある転落事故――。真知の恋人の織田裕三は、雨で濡れた階段から転落して亡くなった。裕三は優秀な書店員で、客が求める本をセレクトする能力に長けていた。ところが事故に遭う前、「僕は誤診をしたのかもしれない」と裕三は珍しく弱気だった。真知はその言葉の意味と、「美門玲二」の正体が気にかかり、事故の真相を調べ始める。
「美門玲二」とは何者か、「誤診」とは何か、裕三は本当に足を滑らせて亡くなったのか――。人物の関係性や状況の描写が明快で、読みやすい。謎が解き明かされていく過程を、存分に楽しめる。
著者の七尾与史は、執筆業の傍ら、静岡県浜松市で歯科医をしている。第8回「このミステリーがすごい!」大賞の最終選考に残った『死亡フラグが立ちました!』で2010年にデビュー。他に『殺戮ガール』『死亡フラグが立ちました! カレーde人類滅亡!?殺人事件』『死亡フラグが立つ前に』(以上、宝島社)、ドラマ化された『ドS刑事』シリーズ(幻冬舎)など、著書多数。
本書は、15年9月に宝島社から単行本として刊行され、加筆修正し、17年に文庫化された。「ダジャレタイトルには、実はかなりの深謀遠慮が潜んでいた。緻密に計算されたミステリ」と、書評家の大矢博子は本書の最後に記している。
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