「居酒屋ぼったくり」なんて店があっても入りたくないが、多くのお客さんがついているようだ。というのはネットの話。『居酒屋ぼったくり』は発行元のアルファポリスのウェブで、漫画が無料公開され、毎月連載が更新されている。コミック単行本、それをノベライズした単行本も発売されヒット、今回文庫化されたのが本書だ。先日、『少年ジャンプが1000円になる日』で紹介した、ウェブ漫画と書籍の関係をうまく実践していると言えよう。
東京の下町にある居酒屋「ぼったくり」は、名前とは裏腹の良心店だ。「どこの家庭でも出てくるような料理で金を取るのは、ぼったくりのようなもんだ」という口癖の店主を慕った常連たちが、「ぼったくり」と書いた暖簾をプレゼントし、店の名前も変えてしまったという店だ。店主亡き後、姉妹が継いでいる。旨い酒と美味しい料理と義理人情が息づいている、というとテレビドラマで見たような話だが、実際にドラマ化され、4月14日(2018年)からBS12トゥエルビで放送される。
簡単なつまみの作り方や全国の銘酒の情報など、実用的な情報が盛り込まれているのがコツだろう。本書のコラムでも、コンビニおでんに豚バラ肉とみそを足して、ひと煮立ちさせるといつもと違う味が楽しめるなど、ちょっとしたひけつがあちこちに。
著者の秋川滝美さんは、2012年オンラインで作品公開を始め、同年に『いい加減な夜食』で出版デビュー、同シリーズは累計28万部のヒットだという。
食べものと漫画、テレビの相性はよく、そこそこ数字は稼げるのだろう。テレビはグルメ番組であふれている。その勢いをかっての書籍化、文庫化という訳だが、漫画から活字への誘導がどれだけ出来るのか、注目したい。
本書もネットで漫画を無料で見て、納得したら買えばいいと思う。それなら「ぼったくり」とは言われないだろう。
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