月400円を払えば200誌以上の雑誌を読むことの出来るWebアプリ「dマガジン」を使うようになってから、雑誌の読み方、買い方がまったく変わってしまった。発売日ごとに配信される雑誌をざっと読む。以前の10倍以上に増えただろうか。なにしろタダ同然だ。興味の向くままに読み散らかす。興味があり保存したいものはたまに書店で買うこともあるが、雑誌に使う費用は激減した。現在、数百万ユーザーが利用しているという。
出版不況と言われて久しい。書籍も雑誌も売り上げは落ち込む一方だ。コミックの市場も免れない。紙のコミック単行本の売り上げは1947億円(2016年)で前年比7.4%の減少だという。本書『少年ジャンプが1000円になる日』(コアマガジン)は、本や雑誌が売れない時代にあって、コミックは紙+電子書籍で売り上げは史上最大規模になっていることをレポートしたものだ。紙は落ちているからそれ以上に電子書籍は稼いでいることになる。
それでいてややこしいのは、無料のWeb漫画を出版社系、IT企業系がそれぞれ運営し、多くのネットユーザー、漫画ファンを吸い寄せていることだ。ほとんどが無料。初めてこれらのサイトを見た人は「これみんなタダで読めるの?」と驚くだろう。
本書では初のヒットWeb漫画となった『となりの猫村さん』に始まり、ツイッターによる拡散でヒットした『うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~』、『キン肉マン』のWeb連載化などWeb漫画の歴史をテンポよくまとめている。
さらにスマホの普及と漫画アプリの開発によって、無料で読める漫画がさらに増えている。ネットで読んで好きになり紙の本で買ったり、無料サービスの期限が切れネット上で買ったりと、無料をテコにしたマーケティングが行われている。それでも膨大な無料の漫画がネット上にあふれているのだ。雑誌や書籍とはまったく違う。
フリーライターの著者は「Web漫画に生活を変えられたな」と思うとあとがきに記している。「午前0時になると出版社のサイトを周回するのが日課になった」というのだ。それでいて好きな漫画や小説を、ネット上の電子書籍で購入するのは心理的な抵抗があり、紙のものを書店で買っているという。
漫画の世界でいま何が起きているのか? 日頃漫画を読むことのない人にも知ってもらいたい。あなたは「少年ジャンプ」を1000円で買いますか?
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