TBS「世界ふしぎ発見」などで、地球の果てにあるような秘境も、お茶の間では知られるようになった。NHKでさえ、「世界入りにくい居酒屋」という地元の人しか行かないような店を訪ねる旅番組をやっている。
海外旅行で普通の観光地は飽きたという人が興味を持ちそうなのが、本書『世界「奇景」探索百科』(原書房)だ。2018年1月に「南北アメリカ・オセアニア編」と「ヨーロッパ・アジア・アフリカ編」が同時発売されている。
著者はジョシュア・フォア、ディラン・スラス、エラ・モートン の3氏。普通のガイドブックには載らない珍奇な場所やモノを集めたカタログを創ろうと、2009年に「Atlas Obscura」(地図の暗箱のような意味?)というプロジェクトを立ち上げた。ネット時代ということも幸いして、世界中のマニアックな人たちから、不思議な場所についての情報が山のように集まり、それを精選したのが本書だ。
「南北アメリカ・オセアニア編」ではリゾート・ビーチが不毛の地に変わったカルフォルニアのソルトン湖、電線も通らない砂漠の地にぽつんとある無断居住者たちの「最後の自由の地」スラブ・シティ、ロサンゼルス郊外にある廃墟化した都市、グアテマラに突然できた巨大な陥没穴、キューバにあるカストロが除幕式をしたジョン・レノンの像、摂氏90度の熱湯が沸くドミニカの湖などが紹介されている。
このほか、国際未確認動物学博物館、二度死んだ少女の墓、魔女の市場、ヘビの島、イースター島の未完成な巨人、インカ最後の草の吊り橋、クリスタルの洞窟なども。特殊な場所だけでなく、建物や彫刻、博物館、自然現象、祭りなど盛りだくさんな内容だ。
「ヨーロッパ・アジア・アフリカ編」では目黒の寄生虫博物館も出ている。写真や図だけでなく、なぜそんな奇妙なものができたのか、エピソード類も豊富。読者の理解が進む。実際に行きたいと思っても、最寄りの道路から徒歩3時間とか、たどり着くのに困難な所が少なくない。ページをめくりながら、頭の中で旅をするにとどめておくのが良いかもしれない。類書も少なくないと思われるが、全世界を網羅したという点では画期的だろう。ネット時代ならではの本だ。
思い出すのが、ジョージ・ルーカス製作総指揮の映画「インディ・ジョーンズ」。主な舞台となったヨルダンのペトラ遺跡は一躍、有名になり、日本からも観光で行く人が増えた。ルーカスはどこかのメディアで、地球上の「誰も見たことがない場所」をロケハンで探すというようなことを話していたと思う。最近ではパソコンのトップ画面にもそんな秘境がよく出てくる。本書で取り上げた場所も先々、何かの映画で登場するかもしれない。
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