読むべき本、見逃していない?

毎日新聞には「すごみ」がある

  • 書名 公文書問題
  • サブタイトル日本の「闇」の核心
  • 監修・編集・著者名瀬畑源 著
  • 出版社名集英社
  • 出版年月日2018年2月16日
  • 定価本体740円+税
  • 判型・ページ数新書・224ページ
  • ISBN9784087210200

 内閣支持率はおおむね高水準を保っているようだが、森友学園問題や加計学園問題に対する政府の説明については、各メディアの世論調査でも「納得できない」という声が一貫して高い。

 最近では佐川宣寿・国税庁長官の過去の国会答弁が「虚偽だったのではないか」という見方が強まり、産経新聞も含めた各紙から批判されている。多くの国民の間に、安倍政権は「文書管理がずさん」、あるいは恣意的で、「何かを隠しているのではないか」という疑念が根強くあることは否定できないだろう。

NHKが新聞協会賞

 この一年ほどを振り返ると、防衛庁のスーダンPKO文書問題では、破棄されていたはずの日報が「発見」され、最終的には稲田防衛大臣が辞任した。こうした経緯はたいがいマスコミによって暴露され、政府側が追認したり、追い込まれたりということの繰り返しだ。直近では厚労省の働き方改革に関する問題で揺れている。

 本書によれば防衛庁問題では共同通信が、防衛相が陸自にデータがあったことを知っていながら非公表に同意したと伝え、フジテレビも独自の資料を報じた。各社が競う中で昨年度の新聞協会賞は、「防衛省『日報』保管も公表せず」の特報を放ったNHKの 「防衛省『日報』問題取材班」が受賞している。

 学校法人・森友学園への国有地売却問題では、佐川長官が、理財局長だった昨年2月の衆院予算委員会で、交渉記録について「廃棄した」と答弁していたが、最近出てきたようで、蒸し返されている。

 本書は、様々な公文書保管に関する問題を拾い上げ、「情報公開と公文書管理はなぜ必要か」「特定秘密という公共の情報を考える」「公文書管理は日本の諸問題の核心」「公文書と日本人」の4部に分けて論じている。著者の瀬畑源さんは一橋大学大学院社会学研究科特任講師を経て長野県短期大学准教授。公文書問題の第一人者だという。

福田元首相がまっとうなコメント

 公文書管理については、公文書管理法という法律があり、文書作成や管理方法などを決めている。福田康夫氏が首相在任以前から熱心に制定を推進し、2009年に公布、11年から施行された。

 すでに政界を引退した福田氏だが、森友、加計学園問題などに関連して、しばしばメディアの取材に応じていた。まっとうな発言が多かったと記憶する。「国民が正しい判断をするために正しい情報を入手できるかは民主主義の原点。公文書は不当な政治介入も排除できる。『記録に残りますよ』と言えば政治家もむちゃなことは言えませんよ。」(朝日新聞のインタビュー)

 ところで、本書でちょっと注目したのは次のくだりだ。「毎日新聞の『調査報道』のすごみ」。公文書問題の報道では、毎日新聞がすぐれているというのだ。著者はわざわざ項目を立てて解説している。

 「特筆すべきは、毎日新聞の社会部の情報公開制度を利用した調査報道のすごみです。情報公開請求をかけつつ、その裏付けのための取材を並行して行うことで、実際に各行政機関がどのような意図で政策をおこなっているのかを追及しています・・・特定秘密保護法や公文書管理制度についての論説も、他の新聞と比して分析が非常に深いと言えます」

 確かに毎日新聞には伝統がある。02年度に「防衛庁による情報公開請求者リスト作成に関するスクープ」、03年度に「自衛官募集のための住民基本台帳 情報収集に関するスクープ」と連続して「情報」を軸に新聞協会賞を受賞している。

 都合の悪い情報は何でも秘匿されるというのでは民主主義社会が息苦しくなる。朝日がリードした「森友問題」などは、地元記者が掘り起こしたと聞いている。本書はタイムリーな一冊だけに、マスコミ関係者は早めに読んでおくのがよいのではないか。毎日新聞に追いつき、追い越すためにも。

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