東京・新大久保にある奇妙なアパートで共同生活する草太と楽人は、大麻の密売で生活していた。二人の性格は正反対で、違法な大麻の密売をしている自覚のある草太に対し、楽人は無自覚で軽率な行動をとることがあった。それでも友だち、それ以上に兄弟のように、自堕落で自由で楽しい日々を共にした。
3年ほど経ったある日、些細な争いが発端で共同生活は幕を閉じる。二人の道は分岐し、各々の運命を辿ることになる。草太は実家のある大阪へ帰り、両親が営むお好み焼き屋を手伝い、今後の身の振り方を考えたり、時折楽人の身を案じたりしていた。一方の楽人は、思いを寄せるシングルマザーの月海と息子の太陽とともに生きるため、再び裏社会の人間と関係を持ち、金を稼ぐ生活を送っていた。
楽人に魔の手が忍び寄り、事態は次第に予測不可能になっていく。楽人は迫りくる危機を回避できるのか。草太と楽人は自分たちなりの幸せを見つけることができるのか。二人の友情は再び結ばれるのか――。
裏社会の犯罪に関わる話なので、時に目を背けたくなる場面もあり、衝撃、恐怖、絶望を感じた。それが終盤になり、極限の破滅状態から、徐々に癒しと希望を感じ、最後は目頭が熱くなった。人間の様々な側面を突き付け、凄まじいインパクトを与える小説である。
本書『ニワトリ★スター』(宝島社、2017年)を原作にした映画(監督 かなた狼)は、くたびれた大麻の売人である草太役に井浦新、全身タトゥーの赤髪モヒカンである楽人役に成田凌を配し、3月17日に公開される。衝撃のバイオレンス・ラブ・ファンダジーに、公開前から注目が集まっている。
著者のたなか雄一狼は、元板前。現在は大阪黒門市場で異色の巨大アート建物「道草アパートメント」のオーナーとして、また映像作品の原案から監督、音楽家として活動している。また、大阪、バンコクを拠点に、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ニューヨーク、フランスと多国籍な人種で構成されるヒップホップ集団「TOM YUM SAMURAI」を率いて国内外で活動している。格闘技「PRIDE」全盛期に一線の選手を多数起用して話題となった映画「殴者」の原作、第20回東京国際映画祭にて邦画で唯一コンペティション部門に選出された映画「ハブと拳骨」の原案、クリエイティブディレクター、音楽などを務めた。監督「かなた狼」の別名義。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?