天皇陛下の「御退位」を受けて出版界では関連本が目につくようになった。これからさらに加速するはずだ
本書『美智子さま』は、「永遠に語り継ぎたい慈愛の言葉」というサブタイトルでも分かるように、美智子さまの様々な場面でのお言葉を選び出し、5章に分けてまとめたものだ。類書はいくつかあるが、比較的新しい一冊ということになる。
世間では「美智子さま」「美智子さん」と呼ばれることも多い皇后陛下。それだけ、国民に親しまれているということだろう。あちこち公務でお出かけになる場合は、どこで察知したのか、たいがい中年の「写真ガールズ」が待ち構えている。「美智子さま~」と声を掛けながらパチリと撮る。そんなシーンをたまたま目撃したことがあるが、もちろん嫌な顔はされない。お立場に留意されつつも、過剰にお高く留まることがない。美智子さまの好感度は、たぶんこれまでに調査されたことがないだろうが、国民の間でとてつもなく高いことだけは間違いないだろう。
本書は、50年以上にわたって天皇陛下に付き添い、内外の様々な公務を果たしてこられた皇后陛下が日々どんなことを思い、責務を果たしてこられたか、折々の「お言葉」を軸にまとめたものだ。妻として母として女性として、日本を代表する立場として、深い思索と慈愛にから発せられたお言葉が並ぶ。
「私はいつも自分の足りない点をまわりの人々に許していただいてここまで来たのよ」
「平和は、常に希求されながら、常に遠い目標にとどまるものなのでしょうか」
「誰もが弱い自分というものを恥ずかしく思いながら、それでも絶望しないで生きている」
「心が悲しんでいたり不安がっているときには、対応のしようもなく、祈ったり、時に子どもっぽいおまじないの言葉をつぶやいてみたりすることもあります」
天皇陛下と違って、美智子さまの肉声は実は余り聞ける機会がない。本書を通して、常に天皇陛下のそばで佇んでいるような印象が強い美智子さまの「お言葉」や「思い」を直に聞くことができる。
編集は別冊宝島編集部。監修は山下晋司さん。宮内庁に長く勤務した後、皇室ジャーナリストとしてテレビの皇室番組などに関わり、これまでにも類書を出している。
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