年末年始も宅配便は大忙しだ。本当にご苦労様です。こんな業態を切り開いたのがヤマト運輸の小倉昌男氏(1924~2005)。その後継経営者5人が小倉氏の思い出や、「小倉イズム」について語ったのが本書『ヤマト正伝』だ。日経ビジネス編で2017 年7月刊。
よく知られているように、小倉氏は「クロネコヤマトの宅急便」でヤマト運輸を大きく成長させた経営者。創業者ではなく、父の作った運送会社を継いだ人だ。
では二代目のぼんぼんかというと、そうでもない。旧制中学、高校から東大経済学部卒。普通なら官僚とか大企業に勤めるところだが、父の会社に入って、事業をイチから学んだ。若いころには結核で長期の闘病生活を送っている。
1960年代になってもなお運輸業の古いルールの中で生きる父と、このままではジリ貧になると危機感を持った息子。会社の社屋を売るまでに追い詰められた段階で、76年、小倉氏は「宅急便」に打って出る。当時は小口の輸送は郵便局の郵便小包が握っていた。そのシェアをいくらかでも奪おうと、綿密に戦略を練った。
当時の郵便小包の取り扱いは年間1億8000万個。それが今では、宅配便全体で38億個以上。そのうちヤマトグループが18億個以上のシェアを持つ。そのプロセスでは規制緩和などをめぐり、しばしば、霞が関官僚とぶつかった。今どきの経済団体ではちょっと見当たらない、血気盛んな、物流の世界に革命を起こした経営者と言える。
約6万人のセールスドライバーをめぐっては、2017年は長時間労働や人手不足の問題も表面化した。事業の有り方が転換期を迎えている。そのあたりの「これからのヤマト」については現在の長尾裕社長が語っている。
偉大な経営者の後を継いだ人はどうするか。何をやるべきか。「ヤマト」にとどまらず、多くの企業経営人にとって普遍的な悩みと、その答えがつづられている。
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