健康についても「格差」があるという。本書によれば「40歳前後のビジネスパーソン100人」のうち2割ほどが「健康上流」で、残りの8割が「下流」。格差を生じさせる原因は「食事」であり、上流と下流を分けるのは糖質のコントロールという。著者は糖尿病専門医の医学博士で、40年近くにわたり約20万人を診てきた臨床経験を持つ。本書は、そのコントロール法を紹介しながら「健康格差社会を生き抜く」ための解説をまとめたもの。
年があらたまって立てる1年の計に「ダイエット」「健康」などを今から考えている人もいるだろう。そのためには、単なる自己流で「脂質抑えてカロリー控えめ」「運動でカロリー消費」などを掲げて実行したとしても効果は期待できないという。著者は「いまの医学の常識では、肥満を生み出す原因は糖質であって、カロリーや脂肪は関係ない。しかし、管理栄養士や医者でさえ、いまだにカロリー神話を信じている人が多くいる」と指摘する。
糖質制限は近年ブームになっており、本書での主張も同じではあるが、人体のメカニズムを究明する生化学に基づいていること、著者自身の20万人以上の臨床経験や世界中の信頼すべき論文を踏まえたエビデンスがあることで、より実践的であることを強調。「本当に正しい」とする68の食事法を紹介している。それらは「よくありがちな俗説や自己流健康法、一部の論説を拡大解釈したようなものとはまったく異なる」という。
糖尿病は文明病の一つとされるが、それは、食文明の進化によりヒトが糖質を好むようになり、さまざまな食品が開発されてきたが、ヒトの身体が処理しきれなくなり不調が現われるようになったからだ。著者は、私たちに「もともと組み込まれたDNAにそぐわない食生活を始めてしまった」ことを指摘。このことが、健康格差社会がうまれる遠因になっている。
健康法には、これで間違いなしという絶対的なものはなく、一人ひとりに合うものは異なるだろう。本書では繰り返し「カロリーと肥満は関係なし」「脂肪は食べても太らない」「糖質が太る唯一の原因」と強調、脂肪やカロリーから糖質に注目を転じるよう促している。カロリー神話を重視してダイエットなどに取り組みながら効果を感じていない人には、検討すべき"セカンドオピニオン"になろう。
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