2030年代に予想される南海トラフ巨大地震は、東日本大震災の10倍の被害総額が予想されるという。その割に知名度はいま一つ。そこで「科学の伝道師」を自認する著者が「西日本大震災」という造語を考え、著書『西日本大震災に備えよ』(PHP新書)で使い始め、浸透してきたそうだ。
地球科学的には、日本列島は約1000年ぶりの「大地変動の時代」に入ったという。1960年代以降に起きた地震、火山噴火の発生地域、規模が貞観地震が起きた9世紀とよく似ているからだ。震度7クラスの首都直下地震と南海トラフ巨大地震は、いつ起きてもおかしくない状況にあるという。
地下のマグマ活動も活動期に入った。富士山も噴火スタンバイ状態であり、山体崩壊を起こすリスクもあるという。今から7300年前には九州の薩摩半島の南で海底噴火から直径20キロの鬼界カルデラができて、九州南部の縄文人を滅ぼした。阿蘇山など過去に噴火したカルデラ火山では今後も起きる可能性が高いと見られている。
1000年に一度級の東日本大震災に比べ、南海トラフ巨大地震=「西日本大震災」はより可能性が高いそうだ。戦慄すべきことだが、あまり浸透していない。著者は「知識から行動へ」と訴え、備えによって減災は可能だとしている。
著者の講義は、京都大学では人気1位の教養科目となっている。本書を読み、わかりやすい語り口に「へえー」と関心しつつ、自分はどう備えようかと考える一歩になるだろう。
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