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「セカチュー」は今も全国の書店員に愛されてます

世界の中心で、愛をさけぶ

 『世界の中心で、愛をさけぶ』略して「セカチュー」は2001年3月に小学館から単行本で刊行され、321万部のベストセラーを記録した。爆発的な売り上げの陰には、本書に感動した書店員の手書きPOP広告があったということでも話題になった。
 04年5月に公開された映画(監督・行定勲、森山未來、長澤まさみ主演)、同年7~9月に放送されたテレビドラマ(プロデューサー・石丸彰彦、山田孝之、綾瀬はるか主演)も大ヒットした。
 06年に文庫版が出たが、今も人気が衰えないようだ。小学館が「文庫20周年」ということで、17年10月に全国の書店員にアンケートしたところ、本書は「小学館文庫ベスト」30冊の中に入った。
 「いまここにあるものだけが、死んでからもありつづけるんだと思う」「ぼくがアキを好きだという気持ちは、いまここにあるものだから、死んでからもきっとありつづけるね」

 朔太郎とアキは、中学二年生の時に出会う。何気ない会話、学校の帰り道、ある時は無人島での一夜。一緒にいる時間の中で、二人はゆっくりと互いへの恋を育んでいく。
 高校二年生のある時、アキは白血病を発症し、闘病生活が始まる。朔太郎は、ついこの間までの幸福があまりにも速く過ぎ去っていく中、アキの死を予感し、祈る。迫りくる時を前に、アキが行きたかったオーストラリアへの出発を決意するが――。 
 アキがこの世界から消えてしまった。六十億の人類という場所に、ぼくはいない。ぼくがいるのは、たった一つの死が、あらゆる感情を洗い流してしまうような場所だ。でも本当に、そこにいるのだろうか。いないとしたら、どこにいるのだろう――。
 最愛の人の"死"をテーマに、生と死への思索が散りばめられている。自分が経験した、あるいはいつか経験する最愛の人の"死"を重ね合わせて、涙した。同時に、登場人物のユーモアとあたたかみに溢れ、大切な人に勧めたくなった。
 小説、映画、ドラマ、どれか1つは目にした方も多いのではないだろうか。どこから入っても楽しめると思うが、当時ドラマを観て、今回小説を読んだ感想としては、ドラマは、アキが病に侵されている時間の描写が強く印象に残った。一方小説は、朔太郎とアキの会話のやりとり、朔太郎が祖父からもらう言葉、アボリジニにまつわる話が、より鮮明に心に残った。

(BOOKウォッチ編集部 YT)
  • 書名 世界の中心で、愛をさけぶ
  • 監修・編集・著者名片山 恭一 著
  • 出版社名小学館
  • 出版年月日2006年8月 1日
  • 定価本体495円+税
  • 判型・ページ数文庫判・236ページ
  • ISBN9784094080971
 

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