著者は、紳士用インナーの「TOOT(トゥート)」社長を務める気鋭の経営者。同社の製品は、デザイン性の追求や品質へのこだわりで知られる。自身は「平たく言えば『パンツ屋社長です」と気取りない。東京大学を卒業して米大手コンサルティング会社「マッキンゼー」に入り、その後、数社を経て、この本の出版の2年前から現職に就いた。本書は、自らの経験を踏まえ、人生を変えるよう兆戦したいと思いながら踏み切れないでいる人たちのための参考書という。
タイトルの「はみ出す」は、アウトロー的な道を進むことではない。「ほかの人とは違う選択をすることです。それはひょっとしたら『従来の自分だったらできなかったような決断を下す』ことかもしれません。また、『ほかの人にどう思われるか』ということを気にしない必要もあるでしょう」という。そのための選択肢を高めるのは、スキルの高さだ。
著者は、マッキンゼーの後、オンライン英会話サービスを提供するレアジョブの転職。その翌年にインターネット生命保険のベンチャー、ライフネット生命に移った。転職先では、前の勤務先で身に着けたスキルが活躍の場を広げたという。マッキンゼーで養ったコンサルタントとしてのスキルは、現職のパンツ屋でも生かされている。
人材としての希少性が"はみ出し"の展望を広げることを述べた箇所では「ほかの分野でスキルを使うことであらためてその価値を感じることができるかもしれません。そのような経験が将来のキャリアを見直すきっかけになるのです」と強調。本書のなかでは、あらゆるところでスキルの重要性が語られており、それがサブタイトルにある「生きる力」であると思われる。
キャリアについては、一般に2つの考えた方があると紹介。まず一つは、最終的な「目標」を決め、それから逆算してキャリアを積み上げるというもので、もう一つは「縁」を大切にし、きっかけがあるごとに、おもしろそうだと思った仕事を選択することだという。著者にとっては、これら2つを「ハイブリッドにした」第3の道があり、ここで重要な役割を演じるのはやはりスキルだ。
「目標」から逆算して「どんなスキルを身につけるべきか」を考えるものの、その「目標」自体は大まかにしか決めないでおく一方、それにプラスして「縁」も重視して選択肢を検討する。ただ、「縁」には「行き当たりばったりの側面があるので、それまで自分が培ってきたスキルが活かせない支離滅裂なキャリアとなってしまいがち」と、注意を促している。
勤務先での飛躍や転職を考えている人向けに書かれたものだが、変化を求めるためにはまず先立つもは「スキル」であることがあらためてよく分かる。
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