カバーのイラストが本書の内容を象徴している。野球帽にランニングシャツ姿の少年が運動にたたずむ。戦後まもないころの物語だろうなと想像がつく。
作家、高杉良さんの自伝である。昭和25(1950)夏、小学校6年生の高杉さんは、家庭の事情で孤児施設「めぐみ園」に預けられ、そこで育った。
日本がまだ貧しく、食うことに必死だった時代。粗暴な上級生、理不尽な園長夫妻、幼い弟妹。主人公の少年・亮平は、持前の機転と正義感で、自らの道を切り拓いていく。「めぐみ園がなければ、作家になっていなかったかもしれない」――経済小説の巨匠、初の自伝的長編小説だという。
読み始めて驚くのは、11歳当時の記憶力の鮮明さ。伯父は京大医学部出身の医者だというから、高杉さんもそんな一族のDNAを受け継いでいたのだろう。「書くと決めたら、どっと湧き出すように記憶がよみがえってきました」と、新潮社の「波」で語っている。泣きながら書いた個所もあったという。
「プレジデント」(PRESIDENT)の 2017年9月4日号に著者インタビューが掲載されている。
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