本を知る。本で知る。

「保守」ではなく「リベラル」

書評掲載元:週刊ポスト 2017年8月11日号

舞台をまわす、舞台がまわる

 山﨑、オーラ、という文字が目に飛び込んできた。作家の山崎ナオコーラさんのことかなと思ったら、山崎正和さんのオーラルヒストリーだった。知識人、文化人という言葉がほとんど死語と化しつつある現在、山﨑さんは最後の、そして最大の文化的知識人の一人であることは間違いないだろう。かつては「保守系」の形容句が付きまとったが、世の中の保守化が進んだせいか、最近は山崎さんのことを、あえて保守とは言われなくなってきたような気もする。

 1934年生まれ。劇作家であり評論家、演劇研究者。しかし山崎さんの仕事はそんな肩書にとどまらない。多数の著作と受賞歴。加えて、若くして佐藤栄作政権のブレーンの一人になり、その後も政府の様々な諮問機関にも関わってきた。本書はそんな山崎さんを、4人の学者(御厨貴、阿川尚之、苅部直、牧原出)が長時間インタビューし、オーラルヒストリーとしてまとめたものだ。

 「週刊ポスト」の2017年8月11日号で、作家の関川夏央さんが紹介している。旧満州からの引き揚げ直前に父を亡くし、「闘う家長」になることを強いられたこと。帰国後は京都の高校で、15歳で共産党員になり、京都大学に「指導」に行ったという早熟ぶり・・・。

 関川さんは記す。「山崎正和といえば『保守』と答えがちだが、私はこの本で典型的『リベラル』の生涯を実感した」。

 すでに「週刊文春」でも、こう紹介されている。「聞き耳を立てたくなる話が、たくさん出てくる」。

  • 書名 舞台をまわす、舞台がまわる
  • サブタイトル山崎正和オーラルヒストリー
  • 監修・編集・著者名御厨貴、阿川尚之、苅部直、牧原出 編
  • 出版社名中央公論新社
  • 出版年月日2017年3月22日
  • 定価本体3000円+税
  • 判型・ページ数A5判・368ページ
  • ISBN9784120048838
 

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?