明治維新によって文明開化が始まったのではない。すでに江戸時代後期から日本の近代はその萌芽を迎えていた、というのが本書の主たるメッセージだ。
江戸時代のイデオロギーである儒学は反商業主義であるが、実際にはかなり自由な商業活動が容認されていた。著者は自身が商人であった山片蟠桃、儒者でありながら富の追求を奨励した海保青陵、伊勢松阪の商家の出である本居宣長らの著作を検討し、自由な経済活動が封建制の身分制度を突き崩していく原動力になったと見る。
評者の齋藤純一氏(早稲田大学教授・政治学)は、「維新革命による身分制の解体が受け入れられた背景に何があったのかを理解するうえで、本書が与える示唆は新鮮である」としている。
著者は東京大学法学部教授。専門は日本政治思想史。「ロング・リヴォルーションとしての明治維新」という見立ては、「維新」ということばに矮小化された、明治の「維新革命」の本質を思い起させる。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?