著者は、国際金融分野の権威とされる米経済学者で、ハーバード大学教授を務める。本書で唱えているテーマは、社会の「レスキャッシュ」化。キャッシュをクレジットカードやICカードなどに置き換える「キャッシュレス」化ではなく、高額紙幣を廃止して、取引の現金依存を少なくしようというものだ。それが、経済の問題を解消するカギとみる。
「現代の先進国でも、現金はいまなお重要な役割を果たしている。とくに小口の取引をするときやプライバシーを守りたいとき、そして大規模な災害が発生したときには現金が欠かせない。だが現金は、大規模な脱税や犯罪など、本来の目的以外の用途でも暗躍している」というのが、2つある「レスキャッシュ」化をめざす理由のうちの一つ。
本書を「今月買った本」のリストに挙げた外交ジャーナリスト、手嶋龍一さんが説明するもう一つ理由はこう。「金利水準が負になれば、人々は預金を引き出してタンス預金に回す。だが高額紙幣を撤廃すれば、タンス預金など叶わず、投資や消費に振り向けられて景気浮揚の効果を生むとロゴフ教授は指摘する」。
手嶋さんは続けて「百ドル紙幣などなくしてしまえ。そう唱える学者を輩出する米国の大学は知的格闘技の主戦場だと感心した」と感想を述べている。
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