著者は、公共政策に関わる実践的人文社会科学が専門で、かねてより、その立場から日本経済の正常化のためには財政出動が必要であると主張してきた。本書は、積極財政には欠かせない「国の借金」を論じながら一般向けに書かれた財政入門書。
「プライマリー・バランス(PB)」は国の基礎的財政収支。日本では2010年の「20か国・地域首脳会合」(G20トロントサミット)での財政健全化加速の合意を受け、当時の民主党・菅直人政権が「PB黒字化目標」を導入し、現政権にも引き継がれている。だが、その見通しは明るくない。
安倍首相が議長を務める、内閣府の経済財政諮問会議は2017年7月18日、同年2回目の「中長期の経済財政に関する試算」を提示し、20年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス=PB)は、8兆2000億円の赤字となる見込みを示した。
赤字解消に考えられるのは増税と予算カット。本書では、消費増税によるPB改善で「国民の所得減」を招き一人当たり10万円貧しくなったと指摘。さらにデフレが進み財政が悪化したという。
評者の第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの永濱利廣さんは、20年までのPB黒字化目標は、債務残高の引き下げという最終目標を達成するための一手段にすぎないとし「本書では、最終目標を達成するためには戦略が柔軟に転換されなければならないということが明確に詳述されている」と評している。
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