2015年に直木賞を受賞した『流』の姉妹編のような話だ。1980年代の台北の猥雑な街の描写、少年たちを取り巻く暴力のきな臭さは共通している。3人の少年が登場する。そして、大人になって回想するシーンが挿入される。
評者の川本三郎氏(評論家)は「どこかスティーブン・キング原作の映画『スタンド・バイ・ミー』を思わせる」と記す。
後年、アメリカで起きた少年ばかりを狙った連続殺人事件と3人は関連するらしい。「僕」とはいったい誰なのか? 台湾にも海外の文化や商品が流通したころが舞台となる。少年たちはブレイクダンスに熱中、ある殺人を計画する。友情がテーマの青春小説として楽しむことができる。