ネットでは「仕事を選ばない」といわれるハローキティ。「無表情」な表情がどんなものとのコラボを可能にし、コラボごとに露出が増し認知度があがり、そのたび彼女を愛する人たちが世界中で増えていく。本書はキティを研究対象とする日系の女性研究者が「その謎と秘密を解き明かした」もの。
著者のハワイ大学人類学部教授、クリスティン・ヤノ氏は、キティファンの間では知られた存在だ。キティ生誕40周年を迎えた4年前、初めてキティが「小さな女の子」であることが判明するきっかけをつくったから。米ロサンゼルスでの40周年記念行事で監修を担当したヤノ氏は、キティを「ネコ」と紹介しようとしたが、そこにサンリオから"訂正"の連絡があったという。
ハローキティのほかさまざまなキャラクターを抱えるサンリオは2010年ごろまでは、グッズ販売に依存していた。その後、ビジネス構造を変え、キャラクターのロイヤリティー重視にシフト。国内外で積極的に契約を結んで商標権使用料で収益を伸ばすようになった。
本書ではそうしたサンリオの戦略や理念をリポートする一方、キティの無表情な表情が、そのグローバリゼーションを実現した理由ではないかと調査を試みる。そして「いかにキティは、国境や文化を乗り越え、人種やジェンダーをも超えて愛され、さらにはパンクやLGBTの人々のアイコンになるまでに至ったか?」などにも議論は拡大。評者の読売新聞編集委員、尾崎真理子さんは、広がる議論に説得されるかどうかは、分かれるところだろう、と述べている。
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