「広告の影響でアイスクリームの売り上げが伸びた」という命題は正しいのだろうか? データでは広告量と売り上げは同様に伸びている。しかし、広告の影響ではなく、単に気温が高くなった、あるいは景気全般がよくなったということも原因としてはありうる。
こんな例から本書は始まる。著者はシカゴ大学公共政策大学院ハリススクール助教授。気鋭の経済学者だ。読むうちに、わたしたちは、かなりずさんな因果関係を前提として、物事を考えたり、仕事をしていることを痛感した。ほかの要因が影響していたり、逆の因果関係だったりすることもあるのだ。世の中には怪しいデータ分析結果があふれていると痛感する。ある事実から他の事実が引き起こされたという因果関係と、一方の値が変化すれば、他方の値も変化するという相関関係は違うのだ。
本書では数式を全く使わずに直感的な説明がされている。たとえば現実の世界で「実際に実験をしてしまう」ランダム化比較試験(RCT)という手法、それが不可能な場合に行う「自然実験」という手法、さらにRDデザイン(回帰不連続設計法)、集積分析、パネル・データ分析など、最近の経済学の研究で取り入れられるようになった手法をわかりやすく紹介している。(BOOKウォッチ編集部 JW)
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