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CUBがスーパーカブに成長する物語

スーパーカブ

 両親はおらず、ほかに頼る人もなく、友達もおらず趣味もない...。そんなナイナイづくしのなかで暮らす地方都市の女子高生が、思い切って通学の足をママチャリから「スーパーカブ」に替えたことから始まる冒険小説。仲間ができ、バイクについて学び、少しずつ豊かになる日常に、読み進むうち共感が深まる。

 平成の大合併で誕生した山梨県北西部の市で暮らす少女、小熊(こぐま)はアパートに一人で暮らしながら奨学金の給付を受けて近くの高校に通う。スーパーカブを使った通学は2年生になってから始まった。

 スーパーカブは本田技研工業が1958年から生産を始めた小排気量のオートバイ。新聞や牛乳配達用のほか、郵便配達で導入され、また商店などの小規模な輸送用として国外でも需要は広がり、世界的ヒット商品になった。カブは英語のcubから。クマなど猛獣の子どもを意味する。

 小熊のクラスにはやはりカブを通学に使う女子生徒、礼子がいた。クラスのだれとも親しく話したことなどない小熊だが、カブを媒介にいつの間にかうちとける。礼子の助けを得て、愛車を通学用にカスタマイズ、必要なパーツがインターネットで入手できることを教えられるなど"実用面"での経験を重ねて知識を得る一方、スピードに目覚め遠乗りの距離を伸ばし"ライダー"としても成長する。

 原付免許に飽き足らなくなり自動二輪免許を取得するなど、さらに困難な冒険にすすんでいく。

 冒頭に提示される「両親もおらず奨学金を頼りに細々と一人暮らす女子高生」の設定や、スーパーカブと少女のマッチングに現実感が乏しい気がしてなかなか前のめりにはなれなかったが、スーパーカブをめぐり変わる小熊の様子に、そのあとどうなるのかと徐々に期待感がもりあがる。

 ナイナイづくしのうえに、現状を変えようという気持ちもなかった小熊が、ひとりでどこにでもいけるような力を身に着ける物語。タイトルの「スーパーカブ」はバイクのことではなく、彼女のことだったようだ。


(BOOKウォッチ編集部 RM)
  • 書名 スーパーカブ
  • 監修・編集・著者名トネ・コーケン著
  • 出版社名株式会社KADOKAWA
  • 出版年月日2017年5月 1日
  • 定価本体600円+税
  • ISBN9784041056639

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