アメリカで「自信」論争を巻き起こした、話題の書

 どうみても自信満々にしか見えない、たとえばフェイスブックCOOのサンドバーグ、次の大統領選に出馬を表明しているヒラリー、IMF専務理事のラガルド、ドイツ首相のメルケル、彼女たちは、いずれも不安を抱えて仕事をしているという。どうしても自信がもてない。一方で男性は、なんの根拠もないというのに自信たっぷりな人が多い。なぜなのか？　その謎を解明すべく、女性ジャーナリスト2人が、各界で活躍している女性たちにインタビューを敢行。その後、心理学や脳神経学、遺伝学など科学的な側面からも検証を試みる。
　たとえば、遺伝子研究については、こんなことが書かれている。最近の研究で「感受性の遺伝子」を解明しようという動きがある。その遺伝子を持っている人は、周囲の環境に左右されやすい。それを確かめるためにアカゲザルで実験を行った。アカゲザルも人間同様、母親の存在は大きく、子どもの態度や行動に大きな影響を及ぼす。
　そこで、遺伝子的背景が生まれつき不安症で怯えがちなタイプのサルを、いつも子どものそばにいて支えになるような性格の母親に育てさせてみた。結果、子ザルたちは、非常に社交的で、他者を助けようとする習慣をもつサルに成長した。彼らは強くなり、仲間たちよりずっと自信をもつようになった。スーパースターの母親に育てられたことで、彼らもスーパースターになったのだ。
「感受性の遺伝子」をもったサルは、自分で経験することのなかでも最悪のことを吸収するが、同時に最高のものも吸収するスポンジのようなものなのだ。

書名：なぜ女は男のように自信をもてないのか
著者：キャティ―・ケイ＆クレア・シップマン
訳者：田坂苑子
発売日：2015/5/29
定価：本体1800円（税別）