本を知る。本で知る。

インディ・ジョーンズのような学者とジャーナリストの珍道中記。

 「笑い」の研究者ピーター・マグロウは、「笑い」という広大な世界に挑んだ。そしてついに「笑い」の原理を極めたと感じていた。それは「無害な逸脱」理論。ものごとが「正しくない、不安な、または危険な状態」(逸脱)でありながら、同時に「問題ない、受け入れられる、安全」(無害)と思われる場合にのみ笑いは発生する、という理論だ。さっそく、この理論を確かめるべくコロラドのお笑いステージに立って、自ら考案したジョークを連発してみた。結果はいわずもがな(?)誰もクスリともせず、惨敗に終わった。
 この惨敗がピーターと、同じく笑いを追い求めるジャーナリスト、ジョエルの心に火をつけた。「笑い」の真理を求めて、2人は世界へ旅立つことになる。まずはアメリカ国内、ロサンゼルスやニューヨークを訪ね、おもしろい人の秘密や、笑いのつくり方を探る。しかし、これはアメリカだけの笑いなのではないかという疑問を抱き、世界へと目を転じることになる。
 タンザニアでは、子どもたちが集団で笑い病にかかった。それはなぜか。日本にもやってきて、日本語もわからないのに落語を聞いて睡魔と闘い、笑いの本場、吉本興業にも足を運ぶ。日本の笑いは世界にも通用するのか。
 次にデンマークも訪れる。宗教をテーマにしたブラックなユーモアをはじめとして、暗黒面から導かれる「笑い」を検証してみる。ほかにこの世でもっとも悲惨な地である、パレスチナに「笑い」を求めたり、アマゾンでは、「笑い」が百薬の長になっている事実を突き止めるべく奔走したりする。最後は、モントリオールで「笑い」の研究成果を再びステージで試す機会を得る。果たしてウケ具合はいかに。
本書は、「笑い」を原理や文化など多角的に分析する面白さに加えて、その解明の過程を克明につづったドタバタ・ルポルタージュぶりが魅力だ。読むほどに“探求の旅”の面白さが伝わってくる。

書名:世界“笑いのツボ”探し
著者:ピーター・マグロウ/ジョエル・ワーナー
訳者:柴田さとみ
発売日:2015/4/17
定価:本体2200円(税別)

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