新しい商品の企画を上司に提案したけど、「ツメが甘いな。ちゃんと考えたのか?」とけんもほろろの反応……。そんなあなたの提案に足りないのは、売れる新商品であることの「根拠」を示し、その根拠をもとにした販売戦略などを「説明する」ことではないでしょうか。
新商品の企画という、いわば「答え」については出すことができても、その答えを実現するための自分の「意見(道筋)」を説明し、説得できなければ仕事においては通用しません。ですが、日本人は基本的に、学校で一つの答えを出すことのみを求められる正解主義の教育を受けています。答えを導くために意識した根拠をもとに、自分の頭で考えを深めて意見を述べることは苦手な人が多いのです。
『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』は、このような多くの日本人が苦手としている「考え抜くためのプロセス」をくわしく丁寧に紹介した1冊です。
著者である狩野みき氏は、世界トップレベルのプレゼンテーションの舞台であるTEDが主催するTED×Tokyoに出演し、海外生活も長い人物。ハーバード大学が提唱する3ステップの「考え方のプロセス」を、自分の体験も含めてメソッド化して、“自分の意見を作る”ための方法を解説します。
本書で著者が紹介しているのが、じっくりと主体的に考えるための思考法であるクリティカル・シンキング(critical thinking)。日本では「批判的思考」と訳されることもあり、相手を批判して自分の主張を通すためのスキルと誤解されることがありますが、本来は「物事の是非を慎重に判断する」ことを意味します。この思考法を身につけることによって、他人の意見や主張だけでなく、自分の考えについても深く吟味するようになるので、自信をもって自分の意見が言えるようになるのです。
●自信をもって意見が言えない自分を克服する習慣を身につける!
ただし、クリティカル・シンキングの重要性について知っている人でも、会議などのディスカッションの場では、議論の流れに合わない意見を言ってはいけないと、発言を控えてしまうケースが多いようです。一方欧米では、小学生のころから積極的にクリティカル・シンキングを活かしたディベートの授業が行なわれており、多くの生徒が自分の意見をもち、はっきりと伝えています。当然、それは大人になってからも変わりません。
では、なぜ欧米と日本で、こうした差が生まれるのでしょうか? それは慣れること。つまり、考える訓練の「習慣化」です。小さな習慣として継続してクリティカル・シンキングの訓練をすれば、他人とはひと味もふた味も違う考えを出せるようになり、意見が言えない自分を克服できるようになるでしょう。
そこで本書では、物事の理解を深めたり、視点を増やして発想を広げたり、シナリオから現実的な選択をするために使うことができる、著者独自の工夫やtipsを豊富に掲載し、考える訓練の「習慣化」を助けるメソッドを紹介しています。
イノベーティブな発想を生み出すことを可能にする本書を、ぜひ手に取って活用してみてください。

書名:「自分で考える力」の授業
著者:狩野みき
定価:1470円(税込)
発売日:2013年6月22日