本を知る。本で知る。

悩みを打ち明けたくなる・・・『ぶたぶたの休日』

 主人公、山崎ぶたぶたさんは、ピンクのぶたのぬいぐるみ。(♂ 妻子持ちで、恐らく、中年。)

ぶたぶたさんを取り巻く人たちは、その不思議な存在をなんの違和感もなく受け入れ生活をしている。

彼を初めて見る人は、最初は「え!ぬいぐるみが動いてる!しゃべってる!変!」と思いながらも、自然に受け入れ、大好きになっているから不思議なものだ。
この本には、ぶたぶたさんに出会った人々の、心の機微を描いた4編のショートストーリーが収録されている。
もちろん、どれもキーパーソン(?)は、ぶたぶたさん。
「約束の未来」卒業が間近になった大学生の佐野理恵。特にやりたいこともないし、でも就職活動しなくちゃいけないし・・・なんとなくふわっとした気持ちですごしている日々。自分の将来を決められない中、親に勧められたお見合いがうまくいき、スムーズ過ぎるくらいの勢いで、全てが整ってしまった。順調すぎる日々の一方で、なんだか心に不安が広がる。そんな中で出会ったのが、街角で占いをしていた、ぶたぶたさんだった。
・・・お話の中では、ぶたぶたさんとの会話が結構出てくる。
(本から抜粋)「ぶたぶたさん、あたし、もうすぐ結婚するの」ぶたぶたは、何も答えなかった。また眠っているのかと思ったが、点目はまっすぐこちらを見つめている。「とってもいい縁談なの」泣きたかったが、あたしは無理に笑った。「けど、あたしには何もないの」結婚したい理由もやめたい理由も、自分自身も。「わかる?」「わかりますよ」ぶたぶたが、今度は間髪入れずに言う。「どうしたら、いい?」「正直になることです」答えはシンプルだった。
・・・
自分の意識とは別のところで、先走るように訪れた幸福。ついていけていない自分。でも安定を求める、不安定な心。
それを乗り越えたときに見える主人公の気付きが眩しいショートストーリー。
このほか、以下の3編を収録。「評判のいい定食屋」「女優志願」「お父さんの休日1~4」
どれも気付きをくれる
珠玉の短編が集まった一冊です。

【局アナnet】 牟田祥子(フリーアナウンサー。茨城県在住)

書名:ぶたぶたの休日
著者:矢崎存美
発売日:2013年2月
定価:581円(税別)
 

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