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情報局員はいかにスパイを手なづけているか?

この本は、二様の読み方がある。だから二倍楽しめる。著者が意図するように「人の心に入り込む技術」を探りながら読む。もうひとつは、情報局員とスパイ(情報提供者)となる人物とのかけひきや成り行きを楽しみながら読む。後者の読み方は、肩肘はらずに素直にただただストーリーを追って読む、もっとも楽しい読み方だ。

ストーリーの触りだけ、ご紹介しよう。著者である情報局員は、ある犯罪組織に関わっているターゲットに偶然を装って接近し、仲良くなる。そろそろ素性を明かしても大丈夫という頃合を見計らい、ターゲットの犯罪の証拠をちらつかせながら、裏取引をする。つまり情報提供者への道だ。しかし、うまく手なづけられても、しばらくすると最初の危機がやってくる。情報提供者は仲間を裏切ることへの後ろめたさを感じ始めるのだ。そこからが腕の見せどころだ。緻密に心理を読み、著者独自のかけひきやテクニックが用いられる。
ヘタなスパイ小説を読むより、元が事実なだけに興味は倍増する。ドイツでベストセラーになったのは、純粋に読みものとして面白い、ここに秘密があるのでは?

さらに前者の読み方もすれば、実生活のノウハウとしても役立ってしまうという、一挙両得、一石二鳥となる。誰とでも信頼関係を築くことができる「17のミッション」や「情報員マニュアル」も公開されている。どれも使える、とっておきの技だ。

詳細は、本を手にとってほしい。
もうあなたもこの本の中身が気になりだしただろう!

『情報員マニュアル』からの抜粋
・謝罪は一度だけ、真心をこめて真剣にする。
・自分のプライベートなことがらを時々打ち明ける。
・いつもすぐに答えを言わない。

レオ・マルティン
1976年生まれ。法律行政専門大学で犯罪学を学んだのち、1998年から2008年までドイツ連邦情報局に勤務。犯罪組織の解明に従事する。短時日のうちに見ず知らずの人の心に入り込み、信頼関係を築く技術は、最高レベルと評される。現在コンサルティング会社勤務。ミュンヘン在住。なぜかイケ面。

 
 
 

書名:元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術 
著者:レオ・マルティン
訳者:シドラ房子
発売日:2012/7/27
定価:1,680円(税込)

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