あの時、もし彼女が不安に負けていたら、歴史の流れは変わっていたかもしれない。
2023年9月26日、米国の元ファーストレディ、ミシェル・オバマさんの新著『心に、光を。不確実な時代を生き抜く』（KADOKAWA）が発売される。2018年（邦訳は19年）に出版した自伝『マイ・ストーリー』に続き、彼女自身の率直な気持ちを明かしたノンフィクションだ。
前作『マイ・ストーリー』は世界45言語に翻訳され、1200万部を突破。幼少期からバラク・オバマとの出会い、結婚、出産、大統領選、そしてファーストレディとなり、新しい世界に踏み出していくまでの日々が、584ページにわたってつづられている。
遠い存在であるはずの「米大統領夫人」も家庭と仕事の両立に悩み、忙しい夫に振り回され、わが子を心配するひとりの女性だった。そんな彼女の言葉は多くの女性の心に響き、「これは『私の話（マイ・ストーリー）』だ！」と共感を呼んだ。
あれから4年、58歳になったミシェルさんが今回テーマにしたのは、「どうやって不安を克服したのか」だ。
58年、わたしは不安を抱えて生きてきた。
場ちがいだ、ここにいるべきじゃない、
誰もわたしを気にとめていない。
まわりから浮いている。
でも、ちがう。
（本書特設サイトより）
物心ついた頃から「周りとちがう」「浮いている」と感じ、子育てや友人作りの壁にぶつかり、いまでも明日の講演会がうまくいくのかと不安に襲われる。そんなミシェルさんが「人生でいちばんの懸念」を抱いたのは、夫から「大統領選に出馬したい」と初めて言われた時だと思う、と回顧している。
バラクは決断は本当にわたし次第だとはっきり言った。バラクはわたしを愛していて、必要としていて、わたしたちはパートナーだ。つまり、この計画はリスクが高すぎると判断したり、家族にあまりにもたくさん問題が生じると考えたりするのなら、わたしがすべてを止められる。
（本文より）
究極の「どうする!?」を突き付けられたミシェルさん。寝ても覚めてもそのことばかりを考え続けた。政治の世界は好きではないし、選挙ではたくさんの「評価」にさらされる。娘たちに静かで落ち着いた暮らしをさせたいという願いもかなわなくなるだろう......次々に襲ってくる不安から、「ノーと言えばほっとするだろうと思った」と当時の気持ちを明かしている。
それでも、彼女は「イエス」と答えた。なぜなら、変化を恐れて「もうひとつのバージョンの物語を生きたくはなかった」から――。
本書の特設サイトには、「ミシェルの言葉」とともに数枚の写真が公開されている。自宅で編み物をしている写真には、「問題が大きすぎたら、小さな作業をやってみる」という言葉が添えられている。大きな不安に襲われたら、無心になれる小さな作業に没頭する。ミシェルさんならではの、不安の克服法だ。そして、「いいことがあればいっしょに喜ぶ、悪いことがあれば消化できるように助ける」という言葉には、オバマ大統領との仲睦まじいカットが。
不安を抱える人たちに、心から安らげる場をもたらしたい。
少し自分の世界を広げるために、リスクを取ることを恐れない。
誰かといっしょに自分の問題を考えることには、意味がある。
さあ、心の中にある光を、見つけよう。
（特設サイトより）
2023年10月8日には、本書の刊行を記念して、昭和女子大学総長の坂東眞理子さんによるトークイベント「ミシェル・オバマに学ぶ＜もっとあなたらしく＞」が、東京日比谷ミッドタウンで開催される。ライフシフト・ジャパン取締役CMOの河野純子さん、ファッションジャーナリストの藤岡篤子さんも登壇予定だ。申し込みなど詳細は、LivePocket（https://t.livepocket.jp/e/7-jhh）に掲載されている。
■ミシェル・オバマさんプロフィール
2009年から2017年までアメリカ合衆国ファーストレディを務める。プリンストン大学とハーバード大学ロースクールで学んだのち、シカゴの法律事務所シドリー・オースティンで弁護士としてキャリアを歩みはじめ、将来の夫となるバラク・オバマと出会う。その後、シカゴ市長のオフィス、シカゴ大学、シカゴ大学病院で働く。若者が公共部門でのキャリアに備えられるよう手助けする団体〈パブリック・アライズ〉のシカゴ支部を立ち上げた。著書に、世界的ナンバーワン・ベストセラー『マイ・ストーリー』(邦訳2019年)。
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