1986年の施行から37年。男女雇用機会均等法第一世代の女性たちが、今年度、60歳の定年を迎える。とはいえ、100歳まで生きるとなれば定年後も働かざるを得ないのが現実だ。「均等」とは名ばかりのジェンダー格差の中で働いてきた女性たちは、この先いつまで働き続けるのか。6月20日発売の『週刊文春WOMAN』2023夏号(文藝春秋)で大特集を組んでいる。
注目は、コラムニストのジェーン・スーさんと、経済思想家で『人新世の「資本論」』の著者・斎藤幸平さんとの対談企画だ。
近著『闘いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』で、仕事と向き合い居場所を見つけた13人の女性の人生を描いたスーさん。その出発点には、女性の働きづらさや生きづらさに対する問題意識があったという。斎藤さんは、「この本に登場する女性たちの人生には、男である私が直面したことのないような出来事がたくさんある」と言い、「結婚や出産を理由に仕事をやめたり、キャリアを変えざるを得ないようなことが、今も変わらず存在しているということは、すぐにでも改善すべき社会課題だ」と改めて思ったと語る。
一方、スーさんは、「いまは結婚しないとか、子どもを持たないということが、女性にとってひとつの最適解になってしまっています。そのこと自体が世の中がうまくいっていないということを物語っている」と指摘。女性がこの社会でいかにして居場所を作るかを考えたスーさんと、脱成長を唱える斎藤さんが、なぜ現代人は生きづらさを感じながらも働き続けるのか、そして、そこから脱する方法はあるのか、それぞれの立場からとことん話し合った。
特集のトップは、2013年刊行の著書『21世紀の資本』が世界的ベストセラーになったフランスの経済学者トマ・ピケティさんによる論稿「2023年、今そこにある『ジェンダー格差』」だ。『21世紀の資本』から10年。気候変動、ジェンダー格差、巨大テック企業への富の集中など、世界が抱える喫緊の課題を受けて、ピケティさんはグローバル資本課税にとどまらず、政治や社会運動によって、平等を勝ち取る必要性を主張するようになっている。その最新刊『自然、文化、そして不平等』(文藝春秋・7月11日発売)から、注目すべきジェンダー格差論を先行公開している。
ほかにも、「ルポ 男女雇用機会均等法第一世代が定年を迎える日」、「給料が上がらない時代、〝老後のお金〟でつまずかないために今から計画すべきこと」ほか、作家・桐野夏生さんと西加奈子さん、ミュージシャン吉川晃司さんと岡村靖幸さんの対談など、「働き続ける」をさまざまな角度から考えた、充実の内容となっている。
定年間近の人も、5年、10年先に定年を迎える人も、自分と社会の未来を考えるきっかけになる一冊。
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