それなりに幸せなはずの毎日に、なぜかモヤモヤ。
不倫なんて、するつもりなかったのに......。
グラハム子さんの『夫の公認なら不倫してもいいですか?』(KADOKAWA)は、35歳の主婦がパート先の店長と不倫関係に陥ってしまう、セミフィクションのコミックエッセイ。
「パート先の関係は良好 かけがえのない家族もいる 私の人生はそれなりに幸せなはず なのに どうして」
かなは、5歳上の夫と小学2年生の娘と暮らしている。家事も子育てもパートも、さらに義母の世話までこなす多忙な日々を送っていた。
夫は色々な食品にアレルギーがあり、かなが早起きしてアレルギーに配慮したお弁当作りをしている。朝ご飯を作り、娘を送り出し、パートに向かう。そしてパートが終わると、隣の市に1人で暮らす義母から頼まれていた買い物をする。義母は足が悪く、用事を頼まれることがあるのだ。それから学童に娘を迎えに行き、晩ご飯を作るなどして就寝。
今の生活に大きな不満があるわけではない。ただ、やりがいや刺激もない。かなは結婚する前、夫と同じ会社のデザイン課で働いていた。激務だったけれども、やりがいがあった。それが27歳の時、今の夫から「結婚するならもう少し時間に余裕のある仕事にしてほしい」と言われ、悩んだ末に仕事を辞めた。
仕事を続けたかったけれども、友人から「羨ましい!」「結婚後に働くならパートくらいが理想だよね」と言われ、両親からも「良かったじゃない」「主婦になれるなんて幸せじゃないか」と祝福された。だから「この選択は正しかった」と思っている。
「他人を羨んでも意味がない そんなことはとうの昔にわかってる 生きてれば不満なんていっぱいあるけど そこばかり見ていても仕方ない 今の生活の中で幸せを見つけることが 大切だから」
そんなふうに、かなは毎日を前向きに生きようとしていた。
日々の生活の中に、かなは「小さな幸せ」を2つ見つけた。1つは、パート先のカフェでデザインの仕事を頼まれたこと。ポップを描いていると、パート仲間や店長がほめてくれた。ほんの少しでも前職が活かせて、必要とされて、とても嬉しかった。
もう1つは、2か月前に異動してきたイケメン店長を目の保養にすること。店長はかなと同い年の独身。夫はもう家族という感じでトキメキはない。なんとなく寂しい「心の隙間」にスルっと入ってくる対象が、自分を満たしてくれる......。かなはパート先で「目の保養とトキメキの補充」をしていた。
そんなある日、店長からカフェのレイアウトデザインを任される。そんなことまでやらせてもらっていいのかと思いつつ、かなはやる気満々。すると店長から、「もし良かったら今度他の店に視察に行きませんか?」と誘われた。
業務の一環とはいえ、2人きりで出かけていいのだろうか......。夫に言おうか迷ったけれども、下手に言って面倒なことになっても嫌なので内緒にしておく。新しい服を買い、久しぶりに美容室に行き、その日を心待ちにしていた。
そして視察当日。店長の車の助手席に乗ったかなは、内心だいぶはしゃいでいた。これは神様からの、いつも頑張っている自分へのご褒美なのだと、1人で納得していた。その時点ではもちろん、不倫するつもりなどなかった。しかし帰りの車中で、店長から突然手を握られて――。
店長からのアプローチに混乱しつつ、かなの中には嬉しい気持ちもあった。そこからさらに、2人の関係はエスカレートしていく。夫は妻の揺れ動く心情に気づくのか。「夫の公認」とはどういうことなのか。
それなりに幸せな今の生活と、刺激的で満たされる恋愛。かなは何を選び、何を失うのか――?
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