本を知る。本で知る。

「僕もこんな人になりたい」SEVENTEENドギョムの胸に響いた、"癒し"の本

今日はこのぐらいにして休みます

 「癒される本」と話題を呼び、韓国で17万部を突破した『今日はこのぐらいにして休みます』(飛鳥新社)の日本語版が、2023年5月18日に発売された。著者のソン・ヒムチャン(緒方真理人)さんは、日本人の父と韓国人の母をもつ。


 自分らしい人生を見つけるヒントとなる、82篇のエッセイを収録。SEVENTEENのドギョムさん、Stray Kidsのリノさんといった、人気K-POPアイドルの愛読書としても話題だ。

 ドギョムさんは2022年2月28日の音声配信で、「ドギョムの深夜本屋」と題し、1時間ほどかけて本書を紹介した。配信の冒頭で読み上げられたのは、プロローグのこの一節だ。

「まずは、この本をしばらく閉じ、目をつむってみてください。それだけでも心を落ち着かせる効果があります。ぜひ試してみてください。
 それが終わったら、自分の休息を邪魔していることに向かって、次のように言ってみてください。
『今日はこのぐらいにして休みます』」

 ほっと肩の荷が下り、癒しや元気をもらえる言葉が詰まった本書。ドギョムさんの感想とともに、内容の一部を見てみよう。

コロナ禍で感じた「感謝」

 配信では、4篇のエッセイが朗読された。1篇目のタイトルは、「私の人生はほかの人の努力で成り立っている」。著者のソンさんが新社会人の頃、いつも通勤バスを降りるときに、安全に運転してくれる運転手に感謝を伝えていたという話から始まる。

「この世にあたりまえのことなどない。私が安心して人生を送れるのは、空気のように見慣れた環境がいつもそこにあるからだ。だから、感謝の気持ちをもつ必要がある」

 ライブ配信時、SEVENTEENはコロナ禍の影響で約2年半の間、有観客コンサートをおこなえていなかった。ドギョムさんは、無観客のオンラインコンサートは誰もいない客席が虚しく、つらかったと振り返り、「僕たちがステージをする時、ファンの方々が前にいらっしゃることが本当にありがたいことなんだと、この時期になって本当にたくさん感じました」と、まさにこのエッセイと同じ心境になったことを語った。

僕も他人の言葉を気にしてしまうから

 2篇目は、「周囲の評価に振り回されない」というエッセイ。著者のソンさんが、将来に期待しない友人が多かった中で、周囲の目を気にせず本を読んだり文章を書いたりし続け、夢を叶えた実体験を語っている。ドギョムさんは、特にこの文章が印象に残ったと話した。

「見過ごしてはいけないのは、人は自分が知っている部分しか見ないということ。あなたが頭のなかに描いた絵を、他人が完璧に把握するのは、ほとんど不可能だ。
だから私たちは、他人の言葉を聞き流す方法も知らなくてはいけない」

 「僕も他人の言葉をすごく気にするんです」と言うドギョムさん。ファンやメンバー、家族からかけられる一言に敏感で、失敗を引きずりやすい性格なのだそう。だからこそ、「聞き流す方法も知ろう」というメッセージが胸に響き、「僕もそういう人になりたい」と思ったのだという。

全ての言葉を気にして過ごしてたら、すごく疲れちゃうじゃないですか。自分自身がすごく疲れる道には(ファンにも)進んでいただきたくないです。
(「Weverse(ウィバース)」アーカイブ公式字幕より)

 配信ではさらに、「意味のある時間をつくるために」「1日に1回以上は肯定的に考えてみよう」の2篇が朗読された。2023年5月18日現在、音声配信のアーカイブは、ファンコミュニティアプリ「Weverse」内に残っている。韓国語が聞き取れなくても、朗読とともに、日本語版をめくってみてはいかがだろうか。

 本書にはほかにも、「あなたという存在は貴い。誰がなんと言おうと」「つまずいても大丈夫。結局はうまくいく」「人間は修正するものではない」「毎日、幸せでいられなくても毎日、笑うことはできる」など、心がほっとラクになるメッセージがつづられている。

【目次】
第1部 すべての人を愛することができないように、
    すべての人から愛されることもできない
第2部 自尊心についてのでたらめな脚本を書き換える
第3部 涙と後悔の愛が私を成熟させる
第4部 人生はよかったし、ときどき悪かった。ただそれだけ

■ソン・ヒムチャン(緒方真理人)さんプロフィール
おがた・まりと/作家・コンテンツ会社「マリト」代表。韓国と日本の名前をもつ。日本人の父と韓国人の母のもとに日本で生まれ、12歳で母と渡韓。22歳で作家としてデビューする。現在はコンテンツ会社「マリト」の代表を務め、「コリアコーチングシステム」法人所属コーチとしても活動している。Instagramのフォロワーは32.5万人(2023年4月現在)。著書累計30万部を突破している。現代人が共有する悩みに向き合い、心を癒すヒントを提案する本書は、幅広い層から共感・支持され17万部のベストセラーに。

■黒河星子さんプロフィール
くろかわ・せいこ/韓日・英日翻訳家。1981年生まれ。京都府出身。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。訳書に『花を見るように君を見る』『愛だけが残る』『アンニョン、大切な人』(かんき出版)などがある。


※画像提供:株式会社飛鳥新社


  
  • 書名 今日はこのぐらいにして休みます
  • 監修・編集・著者名ソン・ヒムチャン(緒方真理人) 著
    黒河 星子 訳
  • 出版社名飛鳥新社
  • 出版年月日2023年5月18日
  • 定価1,320円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・216ページ
  • ISBN9784864109536

エッセイの一覧

一覧をみる

書籍アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

漫画アクセスランキング

DAILY
WEEKLY
もっと見る

当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?