近年、「大人の発達障害」が話題だ。自分ももしかして......? と思っている方もいるのでは。
発達障害? と感じる生きづらさは、もしかしたら「トラウマ」が原因かもしれない。公認心理師のみきいちたろうさんいわく、トラウマによって、発達障害とよく似た症状が引き起こされることがあるのだそうだ。
みきさんの著書『発達性トラウマ 「生きづらさ」の正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で、詳しく解説されている。
トラウマといえば、災害や性犯罪被害などのショッキングな出来事で引き起こされるイメージがあるだろう。しかしそれとは別に、日常の強いストレスで負う「慢性的なトラウマ」もあるのだという。一度の出来事のトラウマで起こる症状を「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」と言うのに対して、慢性的なトラウマで引き起こされる症状は「複雑性PTSD」と呼ばれる。複雑性PTSDの原因となった慢性的なトラウマを「発達性トラウマ」と呼ぶ。
発達性トラウマが原因と考えられる症状として、本書では以下のような例が紹介されている。
・緊張しやすい
・人に気を遣いすぎる
・他人の言動にイライラすることが多い
・問題が起きると、自分が悪いと考えてしまう
・整理整頓や片付けがうまくできない
・自分の感情をうまく表現することができない
・自分はおかしい、ダメな人間だ、と感じることがある
・動悸、息苦しさ、不安などパニックに襲われることがある
・アルコール、ギャンブル、買い物、仕事、過食、恋愛など依存傾向がある など
以上はほんの一部だが、こういった症状は、家族の不和、学校でのいじめ、パートナーのモラハラなど、日常的に受けていたストレスが原因であることがあるのだそうだ。
このような症状を「発達障害ではないか」と疑って診察に来る患者が多いとみきさんは言う。実は、発達性トラウマによる症状と発達障害の症状は、専門家でも容易に見分けがつかないほど似ているといい、なぜ症状が似るのかは、まだ明確にはわかっていない。
本書では、発達性トラウマが引き起こす主な症状を解説し、トラウマにどのように対処していくかを説いている。発達性トラウマが疑われる患者の多くは、「生きづらさの原因がわからずに困っている」人だともいう。もしあなたもそうなら、本書がヒントをくれるかもしれない。
【目次】
第1章 この「生きづらさ」はどこから来るのか?
第2章 トラウマをめぐる経糸と緯糸
――"第四の発達障害"を生む発達性トラウマ
第3章 トラウマがもたらす"自己の喪失"と様々な症状
第4章 トラウマを理解する
――ストレス障害、ハラスメントとしてのトラウマ
第5章 トラウマを克服する
■みきいちたろうさんプロフィール
公認心理師。大阪生まれ、大阪大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了。在学時よりカウンセリングに携わる。大学院修了後、大手電機メーカー、応用社会心理学研究所、大阪心理教育センターを経て、ブリーフセラピーカウンセリング・センター(B.C.C.)を設立。トラウマ、愛着障害、吃音などのケアを専門にカウンセリングを提供している。
著書に『プロカウンセラーが教える 他人の言葉をスルーする技術』(フォレスト出版)がある。雑誌、テレビなどメディア掲載・出演も多く、テレビドラマの制作協力(医療監修)もおこなっている。
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