近年、「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」が注目されている。感受性が強く傷つきやすい人のことで、よく「繊細さん」とも言われる。「自分もHSPかも」と思っている人もいるかもしれないし、一方で、HSPの特徴(深く考える、刺激に敏感、共感性が高い、よく気がつく等)を見て、「私はそこまで繊細ではないから違う」と思っている人もいるかもしれない。
そのなかに、「私はHSPではないはずだけど、なんだか生きづらい」と感じている人はいないだろうか。「確かに考え込みすぎたり、周りに影響されやすかったりして疲れがちだけど、でも常にびくびくしているわけではなくて、外向的で大胆な行動もとるし、何より私はそんなに弱くない」。こんなふうに思っているあなたは、HSPのなかでも「HSS型HSP」に当てはまる可能性がある。
HSSとは、ハイ・センセーション・シーキング、つまり刺激を求める性質のこと。HSS型でないHSPが刺激全般を避けたがる一方で、HSS型HSPは、刺激に敏感なのに、刺激がないと退屈してしまうのだ。だから、「繊細なのに繊細じゃない」という少しややこしい状態になる。
HSS型HSPには、主に以下のような特徴があるという。
□まわりの期待に応えたい
□誰かに喜んでもらえるなら、自分の気持ちは抑え込む
□9の長所より1の短所にクヨクヨしやすい
□現状に満足してはいけない、と自分を否定し、はっぱをかける
□自己卑下し、不安を感じやすい
□疲れやすく、まわりにペースを合わせ続けられない
□疲れても踏ん張ってしまう
□時々猛烈に休みたくなる
□中途半端な人を見るとイライラする
□猛烈に自信のある分野がある
□本当の自分と、まわりからの自分の印象にギャップがある(そんな自分は変なんじゃないかと思っている)
HSS型HSPに特化したカウンセリングをおこなっている心理カウンセラーの時田ひさ子さんいわく、HSS型HSPには「やりたいことがわからない」あるいは「やりたいことを我慢してしまう」傾向があるそう。時田さんの著書『かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方』(あさ出版)は、そんな「かくれ繊細さん」ことHSS型HSPが、「やりたいこと」に向かって歩き出せるように背中を押す本だ。
HSS型HSPはなぜ、「やりたいこと」を見失いがちなのか。そこにはさまざまな要因がある。本書では以下の5つが挙げられている。
・深く没頭するのに最後までやり通せずに自信を失った
・「根本的に解決したい」思考を理解してもらえなかった
・「欲張り」だと思われてしまった
・「1つのことに打ち込めない」ので欠陥のある人とされた
・「察する能力」が評価されなかった
好奇心が旺盛で、本当はやりたいことをちゃんと持っているHSS型HSP。でも、「やりたいこと」をしようとしたとき、根本的な解決・意義を求める性質を「しつこい、欲張り」、さまざまな分野に興味があって一つのことが続かない性質を「飽きっぽい、何も成し遂げられない」と思われる経験をすると、「やりたいこと」を引っ込めてしまう。繊細で、他人からどう思われるかをとても気にしてしまうからだ。また、自分の能力を誇示するのをよしとしない性質もあり、周りから評価されづらいため、「やりたいこと」に踏み出せないという場合もある。
こうして「やりたいこと」を引っ込めているうちに、HSS型HSPは本当に自分がやりたいことがわからなくなってしまう。本当に「やりたいこと」へ向かっていくには、自分の性質を理解し、「やりたいこと」を恥ずかしがらずにやってもいいのだと、自分を許してあげることが必要だ。本書『かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方』のなかで、自分自身の理解とコントロールの方法を、一歩ずつ知っていくことができる。
実は、著者の時田さん自身も、HSS型HSPの当事者。本書には時田さん自身の体験談や、時田さんが過去にカウンセリングをした人のエピソードも盛り込まれている。「自分もHSS型HSPかも」と思っている読者は、たくさんの仲間に出会えた気持ちになるはずだ。
ここで断っておきたいのが、HSS型も含めて、HSPは病気や異常では全くない。いずれも、生まれ持った性質だ。もし当事者なら、治すのではなくて、自分の性質を理解してうまく付き合っていく必要がある。
HSPは人口の20%、HSS型HSPはそのなかでも30%(人口全体の6%)いると言われている。94%の人にとっては、この本に書いてあることは関係のない話かもしれない。心の奥でひっそりと助けを探している6%の人に、この本が届くことを願っている。
【目次】
第1章 もしかして「かくれ繊細さん」かも?
第2章 かくれ繊細さんに秘められた10個の才能
第3章 かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方
第4章 かくれ繊細さんが才能を発揮して活躍するコツ
■時田ひさ子(ときた・ひさこ)さんプロフィール
HSS型HSP専門心理カウンセラー。HSP/HSS LABO代表。早稲田大学文学部心理学専修卒業。繊細で凹みやすいと同時に好奇心旺盛なHSS型HSPへのカウンセリングをのべ1万5000時間実施。講座受講生からのメール、LINEのやりとりは月100時間以上。かくれ繊細さんのオンラインコミュニティ主催。臨床心理学、認知行動療法をはじめ、フォーカシング、退行催眠、民間の手法まで、あらゆる心の扱い方について習得する。著書に『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』(フォレスト出版)がある。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?