欲しいものをいくら買っても、なんだか満たされない。そう感じているのなら、ものを「減らす」ほうへと舵を切ってみてはいかが?
今の暮らしにもやもやしている人は、ミニマリストという生き方を少し覗いてみてはどうだろう。BOOKウォッチでは、7人のミニマリストインフルエンサーが暮らしを語った『「大好きなもの」しか持たない 少ない暮らし』(日本文芸社)からそのヒントを探るべく、本書に登場する2人のエピソードを一部抜粋してご紹介する。
ミニマリストというと、殺風景な部屋で質素な暮らしというイメージがあるかもしれない。でも7人の話を読んでいくと、本当は少し違うということがわかる。ミニマリストとは、自分にとって本当に大切なものだけを選び抜き、「大好きなもの」に囲まれて、穏やかに満たされて暮らす生き方なのだ。
今回ご紹介するミニマリストは、YouTubeとInstagramでミニマルライフを発信しているOdekoさん。40代で、2LDKに夫と2人暮らしだ。もとは浪費家で貯金もなかったというOdekoさんは、どのようにしてミニマリストになったのか。そして、ミニマルとは真逆の"タメコミニスト"だという夫と、喧嘩せずに暮らしていく方法とは。
~以下、本文より一部抜粋~
もともとお買物が大好きで浪費がやめられず、いつもカツカツな暮らしをしていた私。その上片付けが苦手だったので、家の中はいつもぐちゃぐちゃでした。
アラフォーになり、ふと我に返ります。「買物ばっかりして貯金もなくて、何してるんやろ?」 「散らかった家でいつまで過ごすんやろ?」と。
そんな時に「ミニマリスト」という生き方を知りました。なんだかかっこいいし、家事も楽になりそうだし、お金も貯まりそう......期待と同時に、「なんとなく行き詰まったこの気持ちも、ものを減らすことで変わるのかも」という思いがふつふつと湧き上がってきました。
その時の私は、とにかく自分を変えたかったのだと思います。ものを捨てることで、新しい自分になれるかもしれない。そんな期待を抱いたのが、ものを捨てる活動=捨て活を始めたきっかけです。
私の浪費の原因はクローゼットに詰まっていると確信があったので、迷わずそこから始めました。すべてのものを一旦全部出して、①仕事に使うもの(お金を生む)、 ②心が癒されるもの(心のゆとりを生む)、 ③時短になるもの(時間を生む)のどれにも当てはまらないものは捨てようと決めました。
とはいえ、残すものと捨てるものの基準を決めたとしても、実際には機械的にさっと決断できるものではありません。私は何度も悩んで捨てられなかったり、迷い続けていたり......。思い描くイメージ通りに捨てられない自分にうんざりしたことも。
けれど捨て活を進めていくうちに「悩んでもいいじゃない」と割り切れるようになってきました。そもそもかっこよく決断できないから、ぐちゃぐちゃな暮らしになったのです。そんな自分がいきなり変われるはずはないのです。だからこそ腹を据えて、コツコツ地道にものと向き合い続けようと思いました。
「理想の自分」があるからこそ早く近づきたくて、でも近づけない自分にがっかりするのは自然なことだと思います。けれど目標は、一気に変革することではなくて、確実に変革することです。「捨て活のタイム」は誰とも競っていないのです。3回悩んだらアウト!なんてルールもないのです。
だからこそ、「腹を据えてコツコツものと向き合い続ける」、これだけが唯一私がすべきことなのかなと、そんな風に考えました。
捨てるか悩んで今すぐ決断できないなら保留にして、他のものに取り掛かる。他のものがひと段落したらもう一度見直してみる。私の捨て活はこれの繰り返しでした。
大切なのは瞬発力ではなく持続力なのだと思います。
私の夫は、「いつか使うかもしれないから捨てない」というタイプの溜め込む人=タメコミニストです。「捨てたい」と思う私と、「もったいない」と思う夫。捨て活を始めた当初は、二人の間でたびたび喧嘩もありました。なんでも残しておきたがる夫のせいで、荷物がなかなか減らない......そのことに、私は苛立ちを募らせていました。
けれど、イライラしても何も進まないし、捨て活を始めたせいでイライラが増えたなんて本末転倒だなと気づいてから、家族みんながミニマリストではなくても心地良く暮らすコツを、自分なりに編み出していったのです。
結果的に私が行き着いた答えは、暮らしの半分だけをミニマルライフにする、「はんぶんミニマリスト」になるというもの。
はんぶんミニマリストとは、家族を巻き込まずに、自分のテリトリーだけをミニマルにする暮らしのこと。「家族がものを捨てない人だから」と諦めるのではなく、まずは自分でできることをやり遂げよう、という考え方です。
家族に文句を言ったり、期待したりする前に、まずは自分のことをやり遂げる。部分的にでもいいから、自分だけの聖域をつくり上げる。私はそんな思いで自分のものだけを手放してきました。夫に対して「これ捨てた方がいいんじゃない?」なんて言葉をかけるのも控えています。ただ、物欲が減って無駄遣いがなくなってきたお陰で、前より貯金できていることだけは伝えています。
これは浪費家だった私を見てきた夫にとっても嬉しい変化のようで、少しは心に響いたよう。「ミニマリストなんて反対!」の状態から「その調子で頑張って」という姿勢に変わりました。
ものを捨てない家族がいたとしても、イライラしている場合ではないのです。目の前にやりたいことがあるのだから。
家の中の一部分だけでもミニマルな空間ができた時の達成感は、何とも言い難いもの。ミニマルライフに一番大切なのは、部屋の余白より心の余白なのかもしれません。
~以上、本文より~
「はんぶんミニマリスト」になったことで、ストレスから脱出して、心地良い暮らしを手に入れたというOdekoさん。「一気にではなく確実に」「まずは自分でできることを」という考え方は、これからミニマルライフに挑戦したい人にとって心強い参考になりそうだ。
次回は、2人の子どもと暮らし、ミニマルマインドのアパレルブランドを手がける小菅彩子さんのエピソードをご紹介する。
■Odekoさんプロフィール
おでこ/アラフォー主婦、派遣社員、YouTuber。ミニマリストに憧れて捨て活開始。「ものを捨てない家族」という高い壁に悩み、四苦八苦しながら「はんぶんだけのミニマルライフ」を手に入れる。YouTubeやInstagramでは「ものを減らして心もお金も整う暮らし」をテーマに、物欲に立ち向かうコツ、家事が楽になる方法、捨て活の様子などを楽しく発信中。
YouTube「tabi to hibi from Odeko」
Instagram:@hanbun_minimum
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