「明大一受けたい授業」に選出された大人気教授による、「本当に信用できるストレス解消法」を多数紹介した1冊がある。
それが、『「不安」があなたを強くする 逆説のストレス対処法』(日刊現代)。本書では、一般的に「ストレス解消法」として知られているけれど実は科学的に効果が期待できない「通説」の間違いを解き明かしている。医学、心理学、脳科学、社会学......など、世界の研究機関の研究をもとに、学術的エビデンスにもとづく意外なストレス解消法を多数知ることができる。
著者の堀田秀吾さんは明治大学教授であり、社会言語学、理論言語学などを専門とする言語学者。熱血指導と画期的な授業スタイルが人気で、「明治一受けたい授業」に選出された。
今回は本書から、忙しい年末にもすぐに使えるストレス対処のテクニックを2つ、厳選して紹介したい。
年の瀬も押し迫り、お酒を飲む機会が増える人もいるかもしれない。お酒が1番のストレス解消!という人は多そうだが、本書では「酒でイヤなことは忘れられない」という研究結果を紹介している。むしろ、「やけ酒をするとイヤな記憶や気持ちがかえって強くなる」というのだ。
これは、東京大学大学院薬学研究所の研究結果だそう。本書で紹介されているのは、次のような研究だ。
ネズミに電気ショックを与えアルコールを注射し、どういう行動になるかを調べたところ、ネズミは電気ショックのことを忘れるどころかいっそう恐怖を強め、臆病になってしまったというのだ。つまり、イヤな記憶が強化されてしまったということ。
さらに、アメリカ国立衛生研究所のホームズらの研究結果では、「アルコールを常習するとイヤな記憶を消す能力が下がる」ともいわれているそうだ。これらの結果から、著者の堀田さんはこう結論づけている。
「イヤな記憶が強化され、消却することも困難になるわけですから、"やけ酒はダメ酒"になってしまうのです」
年末でお酒を飲む機会が増えても、決してやけ酒にならないよう、ほどよく楽しむのがストレス解消のコツと言えるだろう。
また、年末年始の休みについつい食べ過ぎてしまうということも多い。そんなときに覚えておきたいのが、本書の「おでこをトントンするだけで食欲を抑えられる」という技だ。
これは、ニューヨーク市聖路加病院のウェイルらが行った実験からわかったことだという。肥満傾向にある被験者の、好きな食べ物への欲求を減らす方法として、次の4つのアクションを比較するという実験だ。
アクション1......指で自分のおでこを30秒タッピング×4回
アクション2......指で耳を30秒タッピング×4回
アクション3......つま先で床を30秒トントンと叩く×4回
アクション4......空白の壁を30秒見つめる×4回
どのアクションも、回数を重ねるごとに一定の食欲抑制効果が出たという。中でもアクション1の、おでこをタッピングした場合がもっとも効果が高く、食欲が半分から3分の1程度まで減退することがわかったとのこと。
お正月太りが心配な人は、休暇中や帰省先でついつい食べ過ぎてしまいそうなとき、ぜひ「おでこを30秒タッピング」を4回、試してみてほしい。
■堀田秀吾さんプロフィール
ほった・しゅうご/1968年、熊本県生まれ。言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。シカゴ大学言語学部博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得退学。専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、法言語学、コミュニケーション論。言語とコミュニケーションをテーマに、言語学から脳科学までのさまざまな分野を融合した研究を展開する。著書に『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)など多数。「日刊ゲンダイ」で「科学で証明! 本当に信用できるストレス解消法」を連載中。
<文・犬飼あゆむ/ライター>
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