3000人の女性の悩みを解決してきたパートナーシップと性のカウンセラー・小野美世さんの『誰にも言えない 夫婦の悩み相談室』(WAVE出版)は、セックスレスや不倫の悩みに対する「優しい答え」をくれる1冊。
セックスレスの相談を受ける中で、「浮気」「不倫」「人に言えない恋愛」のワードが頻出するという。不倫する女性が増えた、もしくは女性が不倫を隠さなくなったのかもしれない、と小野さんは見ている。
ちなみに、RCL探偵事務所を運営する株式会社RCLが、20代から50代の未婚男女を対象に実施した「浮気発覚と復讐体験談」 に関する調査によると、約4割がパートナーの浮気に復讐したことがあるという。復讐の中身は、「TwitterやLINEで浮気を拡散した」「彼氏の携帯に内緒でGPSアプリを入れて観察し、よく滞在している場所に行ったら浮気相手の家だったため、写真を撮って証拠を残した上で突撃した」など、なかなか大胆である。
BOOKウォッチでは、本書の【試し読み】をお届け(全3回)。2回目は、不倫する側・される側、それぞれに向けたアドバイスをピックアップ。不倫の代償が大きいことはわかっていても不倫してしまう、その心理とは。
(以下、本文より)
例えば、既婚女性が既婚男性から大胆なアプローチをされて、次第に惹かれていく。その女性の中で欲望がふくらみ、「理性vs.本能的欲求」の葛藤にさいなまれることがよくあります。
「既婚男性があれこれしてくる」。→だから女性の中で理性と本能の戦いが起きる。と思われるでしょうが、実はここでも、その順序が逆だったりすることが、とても多いのです。
順序を逆にして考えてみると、今目の前で起こっていることの本質がわかることがあります。浮気でも、セックスレスでも、「この状況を使ってまで、何か気づいたほうがいいことがある」ということなのです。
前述の女性の場合は、もういいかげんに自分の本能や欲望を開放したいと思っていたのでしょう。だから、そこに既婚男性が現れて、あれこれアプローチしてくるという状況が必要だった。そして、まさに適任と思われる相手が用意された。
実際に、そういう展開になってご相談にいらした女性は数々いらっしゃいます。
あなたが、もしかすると自分の場合もそれかもしれないと思われるなら、あなたが向き合うべき問題は、「これまでずっと理性の力で本能や欲望を抑え込んできたという事実」です。あなたに積極的にアプローチしてくる既婚男性の存在が問題なのではありません。
カウンセリングでも、こうした逆の視点からお話を聞いていきます。それで問題がするっと解けることもあれば、すべてこれで解決! といかないこともあるので、「じゃあ今後は実際どうすれば、より幸せになれるだろう?」と、一歩踏み込んだやりとりをしていきます。浮気する側、される側、それぞれの立場で考えて、具体的な解決策を探っていくわけです。
浮気はなぜ起こるか? そこには、どんな場合にも共通する基本原則があります。
「自分はこういうものを欲しているのに、パートナーとの間にはそれがないと思った」
「パートナーに求めても得られないと思った」
「この先もパートナーからもらえないと判断した」
──その求めても得られない「何か」を、パートナー以外の誰かに求める、というのが浮気の基本原則なのです。
優しい言葉はもうもらえなくなった(と勝手に判断した)から、他の人に求める。もう刺激がない(と自分は思った)から、他の人に求める。女として見てもらえなくなったから、そう見てくれる誰かを求める。セックスしてくれなくなったから、その相手を他に求める。──というように、「不足している」とその人が(勝手に)感じたものを、他で補おうとする。それが「浮気」です。
浮気をする夫が妻以外の女性で補っている「何か」とは、本当は妻からほしかったものです。ところが、驚くべきことに、夫本人は、このことを妻にしっかりと伝えません。「本当は君からこれがほしかった!」と妻に言ったりもしません。仮に言ったとしても、妻は「浮気された!」と怒り狂っている真っ最中だったりするので、夫の言い訳にしか聞こえません。
しかし夫婦のすれ違いは、夫が浮気を始めるずっと前から、すでにあったのです。
Jさんという女性の場合もそうでした。Jさんは、まだ幼いお子さんたちの育児をがんばっているさなかに旦那さんの浮気が発覚し、とてもつらい日々を過ごしていました。旦那さんが嘘をついていたということにも大変なショックを受け、土下座をして謝られても、許す気になれなかったそうです。
私はJさんのお話を聞きながら、このご夫婦間に起きた浮気の直接の原因はセックスレス、でもその奥にもっと複雑な、夫婦それぞれの思いが隠れていると感じました。
旦那さんはJさんに、「セックスを何度も拒否されて傷ついた」と率直にお話しなさったことがあるようですが、Jさんの心には何も届いていませんでした。ですからJさん自身は気づかなかったとはいえ、旦那さんの心を傷つけてきたのです。そして、浮気が生じる土台を、ふたりの間に作ってしまっていたのです。
本当の原因を未解決のまま放置していると、同じ問題が何度も繰り返されます。
「あなたが悪かったのよ。もう二度としないで」と蓋をしても意味がないのです。
「【試し読み】夫に対するその態度、浮気の土台を作っているかも......。『誰にも言えない 夫婦の悩み相談室』(3)」もお楽しみに。
■小野美世さんプロフィール
パートナーシップと性のカウンセラー。愛知県生まれ。京都在住。2児の母。結婚前に経験したセックスレス(拒否される側)の悩みを機に、カウンセリングの世界と出会う。2013年、心屋塾認定講師となり、性・セックス・夫婦関係などのカウンセリングやセミナーを行っている。性に関する真摯なブログには、「読むだけで楽になった」「性の悩みへの優しい回答が書いてある」という声が多くの女性たちから届いている。これまでアドバイスしてきた女性約3000人のケースを元に、本書を上梓。
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