皆さんは、コミュニケーションにおいて特にどんな場面で緊張するだろう。
大勢の前で発表することはもちろん、自己紹介や初対面の人と話すときなど、新しい環境で避けられないシーンもかなり気を遣うのではないだろうか。
『12歳から始めるあがらない技術』(秀和システム)は、小学生から使えるような、大人も役立つ「緊張しないコミュニケーション」の方法を豊富に解説している。
自身も17年もの間、あがり症に苦しんだ経験のある著者・鳥谷朝代さんの優しい語り口は、同じように人前で話すことに強い苦手意識のある人の不安に寄り添ってくれる。
今回は、本書の第4章「どんな場面でもあがらずにふるまえる」から、初対面の人と話すときの緊張を和らげるコツを2つ紹介したい。
最初に知っておきたいのが、「自己紹介」のときに使えるアイデアだ。ポイントは、「印象的で短く」すること。
鳥谷さんによると、自己紹介の主な目的は2つあるという。
1. 自分自身が居心地よくなるため
2. まわりの人を安心させること
新しい環境で居心地よく過ごすためには、まず自分のことを皆に知ってもらうほうがいい。でも、あれこれ話せば話すほど、印象に残らない自己紹介になってしまうそうだ。
まずは自分のことを「チラ見せ」するくらいの意識で、ひとつの話題、たとえば自分の好きなことについて短い言葉で伝えるようにしてみよう。
そうして自分がどんな人か断片的に伝える自己紹介には、まわりの人をホッとさせる効果もあるのだとか。
自己紹介と同じくらい緊張しがちなのが、初対面の人と会話するシーンである。
鳥谷さん自身も、もともとはかなりの人見知りだったそう。初対面だとどんな人かわからないから何を話せばいいかわからない......、沈黙したらどうしよう、盛り上げないと......などと考えてしまい、苦しんでいたそう。このような不安には共感する人も多そうだ。
本書では、そんな初めて会う人との会話に使える「魔法の言葉」として、「シタシキナカ」を覚えておくとよいとアドバイスしている。
これは、初対面で立ち入った話を避けつつスムーズに話を続けられる質問の、頭文字をつなげたもの。
シ:趣味の話......「休みの日って何してる?」
タ:旅(食べ物)の話......「夏休みどこか行った?」「なんのスイーツが好き?」
シ:仕事の話......学生は勉強の話に置きかえましょう。「得意な教科って何?」
キ:気候(天気)の話......「昨日暑かったよね?」「雪ふったよね?」
ナ:仲間(友だち)の話......「小学校時代の友だちに会ったりする?」
カ:家族の話......「兄弟はいる?」
いずれも、年代を問わず使えそうな話題だ。ただし、「カ」=家族の話は、ビジネスシーンなど大人どうしの会話では避けたほうが無難かもしれない。より親しくなってからであれば、配偶者や子供のことなどについて、共通の話題として盛り上がるきっかけになるのではないだろうか。
この「シタシキナカ」を覚えておいて実際の会話で使ってみることで、初めて会った人とのコミュニケーションにも徐々に慣れていけるはず。
さらにもう1つ、「オウム返し+1」も会話を進めるのに使えるテクニックだ。これは、相手の言葉をそのまま返した上で、ひとことつけ加えて応答するというシンプルなもの。
たとえばこんなふうだ。
「休みの日って何してる?」
「とっておいたドラマを見たりしているよ」
「ドラマね! なんのドラマ見ているの?」
「ドラマ」という答えをくり返した上で、ひとこと質問をつけ足すことで自然に話を展開できる。すぐに実践できる技なので、ぜひ真似してみてほしい。
自己紹介や初対面の人との会話は苦手意識のある人が多く、著者の鳥谷さんもかつてはその1人だった。経験者だからこその読者に寄り添ったアドバイスが詰まった本書は、手元に置いておけば、日々のコミュニケーションで強い味方になってくれそうだ。
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