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【座談会】サレ妻たちのリアルボイス(後編)~私たちは負けない!

サレ妻たちのリアルボイス(座談会)

 KADOKAWA「夫にナイショ」シリーズ(LScomic)で、「サレ妻」を描いた人気のコミックエッセイの原作者3名による座談会。浮気夫「あるある」や、再構築の難しさを語り合った前編に続き、今回は、「妻たちの反撃」について、それぞれの体験談を語っていただきました。

【参加者プロフィール】

コマさん

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 『サレ妻になり今は浮気探偵やってます』の原作者。元夫の浮気調査を依頼した探偵に救われたことから、自らも浮気探偵に。現在は子連れの男性と再婚してステップファミリーを築いている。

てんさん

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 『夫は不倫相手と妊活中』の原作者。夫の不倫相手から宣戦布告を受け、弁護士や探偵に頼りながらふたりに立ち向かう。一度は関係修復をし、ふたり目の子どもを授かるも...。

3cha(みちゃ)さん

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 SNSをメインに読者の体験談を漫画にしている、フリーのデザイナー。『夫の浮気相手は中学の同級生でした』は、実在の女性の体験談をもとに描いた作品。猫とふたり暮らし。

信頼を裏切った夫に「さーっと冷めた」

――不実な浮気夫に対して、妻たちもなめられっぱなしではなく、徐々に反転攻勢に出ます。その原動力はなんだったのでしょう。

てん 不倫相手と最初に会ったときは、すごく若くて見かけはキャバ嬢みたいだし、「え?こんな人がタイプだったの...?」って、げんなりしました。そんな女性と関係を持っていたこともショックでしたが、それ以上にウソまでついて、平気で家族を裏切ったことに幻滅したんです。

一体、どんな神経してるの...?(『夫は不倫相手と妊活中』より)
一体、どんな神経してるの...?(『夫は不倫相手と妊活中』より)

コマ わかる。そこなんです。夫婦の間の信頼を踏みにじられたことで、さーっと冷めていったんですよね。

てん 一旦は別れることになったのに、相手の女性はお構いなしにメッセージを送ってくるし。

3cha マンガでは、不倫相手は「脳内お花畑」な感じに描かれていましたけれど、彼女の父親はわりとまともな人に描かれていましたよね。

てん はい、実際にきちんと謝っていました。でも、お母さんは自分の娘に似た感じでしたね。

――逆にコマさんは義母と同居されていたために、最後は夫家族との闘いになっていました。身綺麗なお姑さんが描かれていましたが、実際はどうでしたか?

コマ マンガの通りです。私はいつも姑から「もっときれいな格好をしなさい。女が外に出たら、周りの人みんなが自分を見てるくらいに思わないと」って怒られていたんです。すごく体裁を気にする人だったので、自分の息子が逮捕されたなんて、言えるわけがない。私の実家にも黙っているようにと口止めされました。

3cha マンガにあった、もう浮気しないように大きく名前を書いた白ブリーフを穿かせたっていうのは......。

夫への報復手段が痛快!(『サレ妻になり今は浮気探偵やってます』より)
夫への報復手段が痛快!(『サレ妻になり今は浮気探偵やってます』より)

コマ 本当です。若かったので、そのくらいしか仕返しを思いつけなくて。結局、姑が可哀想だと言って、デパートでまたパンツを買い与えていたのですが。私の両親が離婚の話し合いに来たとき、夫がフリース姿だったことも事実ですが、実はアウトドア系のブランドもので......ブランド大好きだったなあ。子どもの習い事の月謝は、別居したとたんに払わなくなったのに。

感情にまかせて問い詰めたら、負け

――コマさんもてんさんも、探偵に浮気調査を依頼しています。3chaさんのマンガでも、主人公のちひろは探偵に依頼して証拠を集め、夫と不倫相手に突き付けました。

2人の前に証拠をずらりと並べるちひろ(『夫の浮気相手は中学の同級生でした』より)
2人の前に証拠をずらりと並べるちひろ(『夫の浮気相手は中学の同級生でした』より)

3cha 自分もそうだったんですけど(笑)、体験談を聞くと、概ね女性って浮気を発見したらカーッと頭に血が上っちゃう。それで感情にまかせて相手を問い詰めて、気が付いたら証拠もなにも消されてしまう。慰謝料もろくに取れず、離婚だけしましたっていうサレ妻さんのケースが結構多いんです。

コマ それこそ私の時は、メールを見ることくらいしかできなかったんですけど、今ならネットの掲示板にいろいろ情報も出回っているし、車にGPSを仕掛けるとか、もっとうまく動けるんじゃないかと思います。

てん 私それ、探偵さんに言われてやりました(笑)。

3cha コマさんはこっそり引っ越しの準備を進めたんですよね。

コマ 子どもの靴とか服とかが家からどんどんなくなっていくのに、元夫は気がつかないんですよ。「いい嫁キャンペーン」していた私が最後の最後に姑に思いをぶつけたのですが、まだ言い足りなかったなって、今でも悔しい。ご近所の目がある中で、平日の昼間にあからさまに引っ越ししたのも、せめてもの復讐です。

てん あの場面、スカッとしました。私はコマさんのマンガのような、子どもの親権争いとかお金の問題で劇的な展開はなく、慰謝料と養育費は書面で請求しました。

3cha ほんとうに、コマさんとてんさんのように正面から闘って、お金の面でも勝ち取っているのはすごいです。尊敬しますね、女性として。

「いい嫁」を演じなくていい

――みなさん、たいへんな時期を乗り越えて、今は安定して暮らしています。一方世の中には、経済的な不安や、子どもからパパを奪っていいのかと考えて、離婚に踏み切るのをためらっている妻は多いと思うのですが。

てん 私、シングルマザーで小さな子どもがいて、コロナ禍で保育園が閉所になった時なんか、もうほんとうに家の中が戦争みたいになって大変でした。でも、元夫との家庭をなんとか続けなきゃって我慢していた時の方が、ずっと辛くて、しんどかった。もしも同じように悩んでいる人がいたら、そんな夫なんていなくても大丈夫だよ、何とかなるよって言いますね。

コマ そうそう。こんな嘘つきな、クズなヤツといっしょにいても、ちっとも幸せじゃないよって。お母さんが笑顔になれなかったら、子どももきっと楽しくないはずだもの。

――最後に、これから結婚しようという人にアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えますか?

3cha 私自身は結婚していないので、体験談を伺ってきた感想なんですけど、やっぱり急いで結婚すると失敗する人が多いような気がします。焦らないこと、でしょうか。

コマ 確かに。私も最初の結婚は若かったし、周りが見えていなかったと思いますね。私は結婚しようと思っているって友だちから聞いたら、いつも「おめでとう」って言います。付け足すとしたら、うーん、何かが起きたらひとりで抱え込まなくてもいいんだよってことかな。それと、無理していいお嫁さんを演じないようにね、って。

てん ぜんぶその通りですよね。あとは、本当にしんどくなったときに、逃げられる場所って大事だなと。実家でも、友だちでも。私はずい分、助けてもらいました。

――みなさんのマンガに共通しているのは、苦しい状況を乗り越えて、前に進む女たちの強さが描かれていて、勇気をもらえることですね。どれも、夫との関係や、小さな家庭の中だけを見つめる狭い世界から、ひとりの女性が抜け出していく物語として読みました。本日はどうもありがとうございました。


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(司会・構成 田中 有/フリーランス記者)


※画像提供:KADOKAWA


  • 書名 サレ妻たちのリアルボイス(座談会)
  • 備考画像はイメージです。

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