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電気料金の話を聞いただけで契約成立⁉ 18歳になったら知りたい「契約」の知識

マンガでわかる あなたを狙う消費者トラブル40例

 コンコン、ドアがノックされる。
「すみませーん、○○電力のものですが、電気代が安くなる電気料金新プランのご案内に参りました」
 別に変える気ないけど、安くなるっていうんなら話だけでも聞いてみるか......。ドアを開けて、応対する。
 営業員が、検針票で確認した今のプランと比べて、新しいプランがいかにお得かを力説してくる。
 でも、少し雰囲気が怪しい。「本当に○○電力の方ですか?」と聞いてみると、急に態度を変えて立ち去っていった。
 やっぱり詐欺か何かだったんだ、危ないところだった、警戒してて良かった......。

 ここまで読んで違和感を持たなかったあなたは、悪質商法に引っかかる可能性が高い。

電気料金の話を聞いただけで契約成立!?

 2022年4月1日から改正民法が施行され、18歳以上が成年となった。18歳からクレジットカードを作って商品を購入したり、株の売買をすることができるようになったが、一旦交わした契約は簡単に取り消すことができない。これまで未成年者取消しの制度で守られてきた18歳・19歳の若者がその保護から外れることとなり、若者を狙った悪質商法・詐欺の増加が危惧されている。とくにインターネット上での契約はトラブルになりがちだ。

 冒頭の例も、そんな悪質商法の一つ。国民生活センターによれば、実際に以下のような被害が多発しているという。

2016年から電力の小売りが全面自由化され、従来の地域の電力会社以外の電力事業者と自由に契約できるようになりました。しかし、訪問してきた事業者の担当者が、「電気代が安くなる」等といって検針票を見せるように迫ったり、「マンション(アパート)全体で契約先の電力会社が当社に変更になる」と事実と異なる説明をしたりして、電力の契約を迫るという相談が寄せられています。中には、検針票を見せただけで、意図せず契約先の電力会社が変更されていたという相談も寄せられています。
出典:国民生活センター【若者向け注意喚起シリーズ<No.11 >電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル】

 なぜ、冒頭の例で違和感を持たなかった人は危ないのか。実は悪質業者は、検針票の情報がわかればそれだけで電力契約の手続きができてしまう。一見撃退したように見えても、検針票を見せてしまった時点で相手の思う壺。気が付いた頃には「電気料金の話を聞いただけなのに契約が変わってる⁉」という事態に陥ってしまう可能性が高い。冒頭の例の対応は、明らかに警戒が足りていなかったのだ。

 しかし、大半の人は、普段から周囲の人を全員詐欺師だと思いながら警戒する生活なんてできないし、したくもないだろう。

 そんな時に役立つのが、2022年3月29日、弘文堂より刊行された『マンガでわかる あなたを狙う消費者トラブル40例』だ。

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 インターネット通販から、ガチャ課金、架空請求、投資詐欺、高収入バイトまで、若者に身近な40の被害例を、弁護士による解説つきのマンガで紹介している。記事で紹介した検針票のケースももちろん収録されている。何しろ40例も収録されているから、これ1冊あれば、あの手この手で騙そうとする悪質商法に対して対応できる。

 うまい話に飛びついて後で泣かないために、18歳から、そしてすべての大人が知っておきたい「契約」の知識を学べる1冊だ。

目次
第1章 便利なネットやスマホでこんな目に!
CASE1 インターネット通販 ―入手困難の人気ゲームをネットで発見?
CASE2 チケット転売 ―人気ライブのチケットをオークションで購入?
CASE3 ガチャ課金 ―ガチャを回して強い仲間をゲット?
CASE4 サクラサイト ―誤送信メールのおかげで芸能人と友達に?
CASE5 ワンクリック請求 ―年齢確認をクリックしたら契約が成立しちゃう?
CASE6 フィッシング詐欺 ―宅配業者から届いたショートメールの正体は?
CASE7 なりすまし ―プリペイドカードの購入をSNSで頼まれたら?
CASE8 内職商法 ―サイトにお金をかければネットショップで稼げる?
CASE9 ペニーオークション ―入札しても落札できないオークションって?
CASE10 暗号資産(仮想通貨) ―アプリで出会った女性に紹介された仮想通貨?
CASE11 架空請求 ―身に覚えがないのに料金未納で訴えられた?

第2章 こんな契約するつもりはなかったのに!
CASE12 デート商法 ―買わないと二人の愛は終わってしまうの?
CASE13 ネガティブ・オプション ―注文もしていないのに勝手に送り付けてきた?
CASE14 キャッチセールス ―街を歩いていたら声をかけられて?
CASE15 点検商法 ―家を点検してもらったらあちこち工事が必要に?
CASE16 アポイントメントセールス ―当選したはずの景品を受け取りに行ったら?
CASE17 催眠商法 ―締めきった会場で熱気に満ちた販売会?
CASE18 展示会商法 ―入場無料の展示会を見るだけのはずが?
CASE19 霊感商法 ―開運ブレスレットを買えば幸運になれる?
CASE20 スカウト詐欺 ―スカウトされて憧れのインフルエンサーに?
CASE21 会員権商法 ―お金を預けて会員になれば温泉旅館がタダになる?
CASE22 暮らしのレスキューサービス ―突然のトイレ詰まりも業者を呼べばもう安心?
CASE23 定期購入 ―お試し価格のサプリを気楽に購入したつもりが?
CASE24 セミナー商法 ―無料の就活セミナーに参加したはずが?
CASE25 必勝法商法 ―ギャンブルで勝つ方法を特別に教えてもらえる?

第3章 投資のつもりだったのに話が違う!
CASE26 原野商法 ―原野を高く売るために隣の土地を買う?
CASE27 未公開株詐欺 ―未公開株を購入すれば上場して大儲け?
CASE28 ソーシャルレンディング ―将来性のある会社にインターネットで投資?
CASE29 被害金回復の二次被害 ―騙し取られたお金を業者に頼んで取り返す?
CASE30 オーナー商法 ―健康器具を購入してレンタルオーナーに?
CASE31 カーシェア投資 ―自己資金ゼロで憧れの外車が手に入る?
CASE32 不動産サブリース ―高額ローンを組んでアパートのオーナーに?
CASE33 匿名組合投資 ―匿名組合に投資すれば毎年10%の利益が?
CASE34 回転売買 ―株の売買は証券会社に任せておけば安心?
CASE35 FX取引 ―FX取引はロスカットでいざというときも安心?
CASE36 ノックイン債取引 ―老後資金は高利回りな債券で安全に運用?
CASE37 先物取引 ―先物取引は少ない元手で大きく儲けられる?

第4章 いつの間にか自分が加害者に!
CASE38 マルチ商法 ―自分が儲かったら友達も誘うべき?
CASE39 虚偽申告 ―ウソの年収を申告してマンション投資ができる?

CASE40 高収入バイト ―高収入バイトのはずがいつのまにか加害者に?
第5章 契約について教えて!
1 契約って何?
2 成年年齢の引下げで何が変わるの?
3 悪質商法・契約トラブルの被害に遭ったら?
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画像提供:弘文堂
  • 書名 マンガでわかる あなたを狙う消費者トラブル40例
  • 監修・編集・著者名著者:佐伯 理華・北原 尚・工藤 寛泰、漫画:よねまる
  • 出版社名弘文堂
  • 出版年月日2022年3月29日
  • 定価1,650円(10%税込)
  • 判型・ページ数四六判、224ページ
  • ISBN9784335359071

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