手書きで文字を書くことが少なくなったとはいえ、何かと書く機会はある。例えば、仕事でちょっとしたメモを付箋に書いて相手に渡すなど、ふとした瞬間に自筆で書かねばならないことがある。また、最近では手書きの手帳やノートなどが流行っていて、InstagramなどのSNSに自分の書いた文字を投稿する人もいる。そんな時にキレイな字が書けたらな、と思ったことはないだろうか。
『読むだけで自分の字が見ちがえる!』(朝日新聞出版社)は、よくある薄い字をトレースするだけの本ではなく、キレイな字を書くポイントを論理的に文章にして教えてくれる。練習する時間はないけれど、キレイな字を書けるようになりたい人におすすめだ。
著者の大平恵理先生によると、たった5つのポイントを意識するだけで上手になるという。そのポイントとは、次のとおり。
1. 止め・はね・払いは忠実に
2. 折れは一度止まってから折れる
3. 長い線は思いきり長く書く
4. 複数横線はやや右上がり平行に書く
5. 等間隔を意識する
特に普段走り書きすることが多い人は、止め・はね・払いを意識することでゆっくり書くことができる。「なぜか字がうまく書けない」という人は、ここをおざなりにしていることが多いという。
意外に難しいのが「長い線を長く書く」ことだ。「なぜか字の形が整わない」場合は、長い線を長く書かないことが原因かもしれない。これを意識するだけで少しプロっぽくなるのでおすすめだ。
文章を書く時の文字のバランスは難しい。文章を書くときは、「漢字は大きく、かなは小さく書く」が大原則、と大平先生。漢字の画数が多い字は大きめに、少ない字は小さめに書くとよいとのこと。また、漢字を大きく書くと文章をパッと見た時に漢字が目に入りやすくなり、大筋が拾えるというメリットもあるようだ。
縦書きにしろ横書きにしろ文章をまっすぐ書くことができない人も多いだろう。筆者もそのうちの一人だ。まっすぐ書くポイントは3つある。
1. 外形を積み重ねる
2. 左右のあきを揃える
3. 視野を広くして少し離れた字を基準に
基本は、ひらがなや漢字のおおまかな形である「外形」を意識すること。例えば、「国」という漢字であれば正方形で、ひらがなの「う」であれば長方形などだ。この外形を意識して書き、さらに外形をブロックのように積み重ねるイメージで書くと文章全体に背骨が通るという。
本書を読む前と後で字は変わったか、筆者が実験してみた。
読む前は、まっすぐに書けず曲がりが顕著だが、読んだ後はちょっとマシになった気がする。止め・はね・払いを意識することで字も読みやすくなったのではないだろうか。また、止め・はね・払いを意識することでゆっくりと字を書くことができ、今ここに集中する状態を指すマインドフルネス的な効果もあった。
本書は感覚ではなく論理的に字をキレイに書く方法を教えてくれる。また、各ページにはQRコードがついていて、読み込むと動画が表示される。
目次は、下記の通りだ。
はじめに
第1章 魅力のある字を書くポイント
第2章 文章を読みやすく書くポイント
第3章 実用手書き見本帖
「第3章 実用手書き見本帖」には、一筆箋・身近な人とのやりとり、履歴書、自己紹介書、中学校入学願書・志望理由書、保育園や小学校の連絡帳などのほか、ひらがな・カタカナ、日常でよく使う漢字一覧掲載されているので、参考になる。
別冊付録として、取り外して使える文章の練習ドリルもついている。キレイな文字を書くためのサポートが満載の本書を読んで美文字を目指したい。
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